第14話 襲撃

 移民を受け入れて人間と仲良くする作戦は、食料を餌にするという人の弱みに付け込んでいるので悪徳商人のようなやり方で、一応は成功した化に見えた。


 そもそも食料が足りずに冬を越せないと嘆いていたし、私は良いことをしているはずだ。


 しかし、どうやら鼻薬を嗅がせ過ぎたらしい。

 他の開拓村からの移民も受け入れて欲しいと、村長が頼み込んできたのだ。

 少しぐらい増えても構わないので承諾したが、食料の交換レートを変えるつもりはない。


 村長は良い笑顔で頷いてくれたので別に良いけれど、それはそれで問題がないわけではなかった。




 それからしばらく経った。

 私は自動車の座席にもたれて、窓の外の景色をぼんやりと眺める。


『交換した食料の一部は、村長のポケットマネーになるんだろうなぁ』

『慈善事業じゃ食べていけません。紹介料は必要でしょう』

『世知辛い世の中ですね』


 自分が村の中にいると騒ぎになるので、今は少し離れたところで車を停めている。

 ゴーレムたちとはリアルタイム通信で頻繁に連絡を取り、新しい食料や移民者のために、浮遊するほろ付き大型トロッコを追加で持ってきてもらっていた。


 そして私は念話ではなく、普通に独り言を呟く。


「面倒な手続きを代行してくれるし、私にとってはありがたいんだけど」


 移民の話は村長がまとめてくれるので、私は何もしなくて良い。

 それに彼はノゾミ女王国民ではなく、他国の人間だ。

 裏で何をやろうと、実害がなければ無視しても問題はないだろう。


 何よりこれから自国民の面倒を見るのに忙しくなるため、余計な仕事を増やしたくない。




 そんなことを考えていると、やがて時間になったので車を動かして指定の場所に向かった。


 今回は大勢引き連れているが、門番は顔パスで通してくれる。おかげで開拓村の広場に問題なく到着できた。


 あとは移民者の準備が整うまで、自動車の中で待機だ。

 寒い外には出たくないし、のんびりと待つことにした。


(しかし思えば、かれこれ半月近くも滞在しているんだよね)


 歓迎されているのは良いが、気軽にくつろげる環境ではない。

 常に女王として振る舞うことを強要されるため、野外がもっともくつろげるのだ。


 今は広場で待機しているので、周りの注目を集めていた。

 正直あまり気が休まらず、大きく溜息を吐いてしまう。


「……早く帰りたいなぁ」


 現在は一人用の自家用車に乗り、パーソナルスペースを確保している。

 窓も閉めているので、私の呟きを聞かれる心配はない。


 ふと外を見ると、しんしんと雪が降って少しずつ積もりつつある。

 天気予報では当分は厳しい寒さが続くので、溶けるのはかなり先になるらしい。


 私が冬の到来を感じていると、厚着をしたフランクが近づいてきた。

 今は外には出たくないので、窓を開けて対応する。


「女王様、移民希望者が集まりました」

「わかりました。報告ありがとうございます」


 あとはノゾミ女王国に向けて出発するだけだが、こういう場合は代表が何か一声かけるのが普通だろう。


 なので私は防寒具のポケットに火の魔石を入れて、扉を開けて車の外に出る。

 コートだけでなく毛皮のブーツも履いているので、完全な冬仕様だ。


 雪は積もり始めたばかりだが、踏むと少しだけ体が沈む。

 幼女の体型では、あまり長く留まると歩行が困難になりそうだ。


「少し話してきます」


 出発前の挨拶は大切だし、簡単でも良いので今後について説明しておくべきだ。


「お供致します」

「フランクが居てくれれば心強いですね」


 ゴーレムは護衛としては優秀だが移民希望者が萎縮してしまうし、人間代表としてフランクが同行すれば安心だ。


 元々距離はあまり離れていないので、すぐに彼らの元に到着した。

 数にしてざっと三百人だろうか、各々が不安そうだったり絶望していたりと、あまり顔色が良いようには見えない。


 私はそんな彼らを見て、頭の中にある音楽が流れた。


(市場に売られる子牛を見てる気分)


 それはそれとして注意深く観察すると、怪我人や病人、または女子供ばかりだ。

 お年寄りはいないようだが、きっと年長者は開拓村に貢献していたり、高い地位にいるのだろう。


 ちなみに率直な感想以外は、特に何も感じなかった。

 移民者が何者であろうと、法律を守って国に貢献してくれればそれで良いのだ。


 なので今は女王として説明をするのが大事であり、話注目を集めるためにコホンと咳払いをする。


「さて、貴方たちはこれから、ノゾミ女王国民になるわけですが──」

「くしゅん!」


 ここまで口にしたところで、子供の一人が盛大にくしゃみをした。

 身を寄せ合っている母親が慌てて謝罪するが、私は別に気にしていない。


 それにしても移民者の表情は曇りっぱなしで、一応話は聞いてくれるが上の空という感じだ。

 雪が降っているのにで、移民者の殆どは着の身着のままだし、明らかに栄養が足りていない。


 怪我人や病人も大勢いるため、こんな状況でまともに話などできないだろう。

 そこまで理解した私は、説明をするのを諦めた。


「急ぎ出発しましょう。落ち着いたら説明します」


 寒空の下での長話は体調を悪化させ、場合によっては命に関わる。

 なのでまずは、暖房設備を追加した大型のほろ付きトロッコに乗ってもらうのだ。


「フランクや他に動ける者は、移民者を幌付きのトロッコに乗せてください」

「了解しました」


 そして私はゴーレムにも指示を出して、光の魔石を持ってきてもらった。


「重症者を放置するのは危険です。

 なので、この場で急ぎ治療します」


 怪我や病状が重く命に関わる人だけ、この場で治療を行う。

 フランクに負担をかけて申し訳ないが、ゴーレムは人の言葉を喋れないので仕方ない。


「ジェニファーや手の空いている人は、怪我や病気が重い方々を私の前に集めてください」

「かしこまりました!」

「お任せください!」


 ジェニファーはともかく、病み上がりのレベッカまで皆の先頭に立って動いてくれている。

 ありがたいことだが、酷使して申し訳ない気持ちもあった。


 だが手足のように動いてくれる人間は、後々出世させれば問題ないと割り切る。

 とにかく私の指示通りに重症者を集めていくと、部位欠損している人も結構な数がいた。


 傷口を塞いで炎症を抑えるぐらいならできるが、流石に完治は無理である。


 やがて大勢の人々が集まり、皆が不安そうな表情を浮かべていた。

 かなり危険な状態だし、とても苦しそうだ。


 なので勿体ぶらずにさっさと済ませようと、ウッドゴーレムに光の魔石を並べてもらう。


「では、祝福を授けます!」


 私が遠隔操作すると一斉に輝いて、患者たちを暖かない光が包み込む。

 そして病気や怪我が瞬く間に癒えていくが、最大出力で使ったのであっという間に魔力残量が底をつく。

 聖なる輝きが失われて、魔石は黒く濁ってしまった。


「魔力切れですね。治療はここまでにしましょう」


 魔石の予備は都市に行けばいくらでもあるし、私が直接魔力を補充することもできる。

 だが全部自分一人で引き受けると、とんでもない仕事量になってしまう。


 なので手が空いたときに少しずつ片付けて、残りは部下に任せるのがちょうど良いのだ。


 私がウッドゴーレムに魔力を失った光の魔石を回収させていると、患者たちは大喜びだった。


「ああっ! また目が見えるなんて!」

「凄い! 痛みが消えたわ!」

「女王様! ありがとうございます!」


 完治ではないが、重症から軽症までは持ち直した。

 集まった人たちからお礼を言われたので、私は堂々と返事をする。


「貴方たちはもう、我が国の民です。

 ならば女王が庇護するのは、当然でしょう」


 私は表面上は微笑みを浮かべているが、内心では体で返済してもらう気満々であった。


「何と慈悲深い!」

「誠心誠意! お仕えいたします!」


 見返りがないのに怪我や病気を治す気などなく、移民者は完全に騙されている。

 だが慈悲深い女王だと思われていたほうが都合が良いので、黙っておく。


 するとフランクたちが任された仕事を終えたようだ。

 真っ直ぐこちらに近づいてきて、姿勢を正して声をかける。


「女王様! 移民者を乗せ終わりました!」


 どうやらまだ幌付きトロッコに乗っていないのは、治療を行った人たちと、私が仕事を任せた人だけのようだ。


「では、残った方々もお願いします。

 乗り込みが完了次第、出発しますので」

「了解しました!」


 念話でもゴーレムたちに出発が近いことを伝えておき、段々と私の体も冷えてきたようで、白い息を吐く。

 やはり幼女は貧弱なようだ。


「先に車に戻っているので、あとは頼みます」


 フランクにそう言って、私は少し早足でその場を立ち去るのだった。




 ゴーレムには、睡眠も休息も必要ない。

 しかし自分の中身は人間だし、機械になりきるつもりもなかった。

 なので労働は長くても八時間までを徹底し、都市に滞在している者も守らせている。


 だが探索に出ている部隊は魔物の襲撃に備える必要があるため、二十四時間休みなく行動しなければいけない。

 敵はいつ何処から襲ってくるかわからないのだった。


 何が言いたいかというと、首都を目指している私たちも同じだということだ。

 家に帰るまでは、決して気を抜くことはできない。


 それでも、途中でトイレ休憩などは挟む。

 しかし携帯用のオマルなどは持ってきているし、食事は幌付きトロッコに乗りながら済ませてもらう。


 そして幌が付いているとはいえ、外の寒さは厳しい。

 暖房設備であるダルマストーブは中心に設置してあるが、離れるとやはり寒いようだ。


 さらに移民希望者はゴーレムと違い、体が弱く栄養失調で衰弱している。

 なるべく負担がかからないように気を配る必要があり、普段よりも低速で移動していた。


 それを見越して道中にトイレ休憩のための広場を作って、朝昼晩の食事時に到着するようにスケジュールを組んである。


 しかし、ウルズ大森林は危険地帯だ。

 いくらゴーレムが護衛に付いているからとはいえ、決して油断はできないのだった。




 今は休憩所の中央に簡易のかまどを作り、大鍋にコンソメスープを干し野菜や干し肉を投入して、火の魔石で温めながらミスリルゴーレムにかき混ぜてもらっている。


 凄いパワーなのに繊細な手捌きは見事だ。

 三百人分の汁物を、焦げないように気をつけていた。


 食器などを人数分用意できたのも、リアルタイム通信で頻繁に連絡を取っていたからだ。

 ありがたい限りである。


 ちなみにずっと同じ姿勢では移民者にも負担がかかってしまうので、休憩所内でのトイレや散策を許可していた。


 大鍋の近くは暖かいため、今はそこに人が集まっているようだ。


『四次元ポケットがあれば、輸送がもっと楽になるんだけどなぁ』


 木箱に座っている私が何気なく呟くと、目の前で大鍋をかき混ぜている一号が反応する。


『危険物を持ち込まれ放題なのでは?』


 確かに、もし空間魔法があれば大量の物資を運べる。

 しかし危険物も持ち込み放題で、中身を確認するには当人に取り出してもらうしかない。


 いくらでも悪用し放題なため、たった一人でも国家を崩壊させることが可能だ。


『むう、治安維持は難しいいね』

『今はまだ、ないほうが良いでしょう。

 それに存在したとしても、我が国が管理すべきです』


 私が管理運営できない不安要素は、ないほう良い。当たり前である。


 そんなことを考えながら、一号と話していた。

 すると周囲を巡回しているゴーレムから、突然の通信が入る。


 私は慌てて木箱から立ち上がり、茂みの向こうに視線を向けて、大声で叫ぶ。


「魔物の襲撃です!

 全員! 広場の中央に集まって、動かずにじっとしていてください!」


 ネットワークが使えるので、誰か一人でも魔物を確認したらすぐに全員に伝えられるのは便利だ。


 多分だが、大鍋から漂う美味しそうな匂いが、ゴブリンたちを呼び寄せたのかも知れない。


 何にせよ移民希望者を守るには、全員一塊になってもらうのが手っ取り早かった。


「結界発生装置を頼みます!」


 ウッドゴーレムが結界発生装置を中央に運んでもらい、起動すると私の魔力色と同じ青い膜がドーム状に広がり、集まった人間たちをすっぽりと包み込んだ。


 本来なら常時展開は強力だが長時間の運用には向かないけれど、この場には魔力を補充できる私がいる。


 とにかく防衛準備が整った。

 なので私は大きな声で、次の指示を出す。


「しばらくフェザー兵器の制御に集中するので、あとは任せます!」

『了解!』


 魔物の襲撃は想定通りなので、私やゴーレムは対処に慣れている。

 だが三百人の移民者には、やはり恐ろしいようだ。

 冒険者や武器を持つ者は周囲を油断なく窺い、他の人は安全な結界の内部でも不安そうな表情を浮かべて身を震わせていた。


「大丈夫です! 皆さんのことは、私たちが必ず守ります!」


 真面目な顔つきに変わった私は、自家用車やトロッコに積み込んでいたフェザー兵器を一斉に起動した。


 これは私専用のマジックアイテムで、羽のような形状をしていて飛行能力を持つ。

 そしてひと度戦闘モードに移行すれば、青く輝く刃に変化したり、同色の六角形の盾になったり、遠くの敵を射抜く光線を放つのだ。


 ただし手動のドローン兵器なので、逐一私が操作しなければいけない。

 それでも便利なため、身体能力がクソ雑魚ナメクジの私の強い味方である。


「魔物の群れは数は多いですが、問題はないでしょう」


 自分一人でも、時間さえかければ処理できる。

 それに今回はゴーレムたちもいるので、大丈夫だろう。


 とにかく戦闘開始だ。

 私はフェザー兵器に組み込んである風の魔石の出力を上げて、ふわりと空中に浮かせた。


「フェザー展開!」


 フェザー兵器が自分の周りに集まり、まるで光り輝く天使の羽を広げたようだ。

 外から見ると神々しくて幻想的ではあるが、私はもう色んな意味で限界だった。


(これ以上は無理そう。仮想空間に引き籠もろう)


 戦闘が始まると、フェザーの操作が複雑化して忙しくなる。

 現実世界でも集中すれば時間が留まるが、みっともなくアタフタしてしまう。


 なので私は意識を仮想空間に沈めて、本体は一歩引いた一から遠隔操作することにした。




 取りあえずは、こっちの自宅の居間に瞬間移動して座布団に腰を下ろす。

 そして机の上に、コップと温かいほうじ茶を実体化させる。

 ちなみに誰にも見られる心配はないので、防寒具やドレスではなくジャージ姿であった。


 そんな私は目の前にウインドウを表示して、外部の様子を観察する。

 準備が整ったあとに、本体に大きな声を出させた。


「それでは、攻撃開始です!」


 ゴーレムたちだけでなく、マジックアイテムからも情報を得ることができるので、 魔物の位置を割り出すことなど容易だ。


 意識体の私は温かいお茶で喉を潤しながら、マニュアル操作で地道にロックオンを行っていく。


『早めに片付けばいいんだけど』


 現実では殆ど時間は経過していない。

 しかし仮想空間では仕事がとても忙しく、思考操作が可能とはいえ何とも地道な作業だ。


『突撃ー!』

『撤退は認めない! 繰り返す! 撤退は認めない!』

『クリーク! クリーク!』


 もはや誰がどのネタを言っているかはわからないが、ゴーレムたちのやる気は十分伝わってくる。

 なので私も先手必勝とばかりに、フェザー兵器に命令を下す。


「ぎゃひっ!?」

「ぐぎゃああっ!?」


 茂みに潜んでいたゴブリンメイジの喉を、寸分違わずに青白い刃が高速で飛来して刺し貫いた。

 さらには遠く離れた場所から青い熱線が射出され、隣のゴブリンソルジャーの頭を正確に撃ち抜く。


 あまりのグロさに、一般人なら忌避感や嘔吐するだろう。

 しかし生きるか死ぬかの殺伐とした異世界で暮らしていれば、この程度は慣れたものだ。

 私は全く動じることなく、淡々と処理し続ける。



 ゴーレムたちも魔物の群れに突撃して、敵は奇襲が失敗したことにようやく気づいたようだ。


 だからなのか、茂みの奥から矢や魔法が次々と放たれ、結界に守られた移民者たちに襲いかかった。


「シールド展開!」


 本体に大声を出させると、青白い六角形の盾が結界の外に展開される。

 敵の攻撃が届く前に、全て弾き返してしまった。


『フェザー兵器は多少壊れても大丈夫だけど、結界発生装置は予備がね』


 盾型のフェザー兵器もお高いので、壊れないに越したことはない。

 しかし今は、移民者を守るのが最優先だ。人命には変えられないし、多少の損害には目をつむる。


『それでもゴブリンの群れ程度に壊されるような、やわな設計はしてないけど』


 そんなことを呟いた私が活躍したのは、最初だけだ。

 ゴーレムたちが突撃したあとは一方的な蹂躙になり、正直やることはなかった。


 まあ、そもそも女王が最前線で戦うのはおかしいのだ。

 わざわざ危険に飛び込む趣味はないが、守護騎士や他のゴーレムは敵陣で大暴れして、それはもう楽しそうに無双していた。


『剣の錆になれぇー!』

『ヒャッハアッ! 新鮮なゴブリンだーっ!』


 前線組は完全にテンションが振り切れて、ヒャッハーしている。


 しかし、流石は世界屈指の魔境だけある。

 ゴブリンジェネラスだけでなくキングまで複数体おり、なかなか数が多かった。

 殲滅には時間がかかりそうだが、個々の戦闘力は並の魔物を遥かに越えている。


 何よりタイムラグなしで全体の戦況を正確に把握して、効率良く敵の弱点を突いて倒していく姿は、もはや戦闘とは言えずに蹂躙だ。


『まるで狩りだね』


 戦況を把握する限り、あまりにも一方的な展開すぎる。

 だが負けたら困るし、勝てるなら何よりだ。


 けれど、時間がかかるのはよろしくない。

 ついでに魔物を倒して素材を手に入れることが目的ではなく、移民者を安全な場所に連れて行くのが最優先だ。


 ならば、なるべく早いほうが良い。

 いつまでも足止めされていると日が暮れてしまい、今後のスケジュール管理に苦労することになる。


『ただでさえ、片道十日以上かかるし』


 まだ道があまり整備されておらず、途中で何度も休憩を挟んだり、安全のために速度を落としている。

 自分としては仮想空間ではなく、現実の自宅でくつろぎたい。


 なので私は、予備も含めて全てのフェザー兵器を起動する。

 そして、いつでも発射できるようにズラリと宙に浮かべた。


 百以上の羽が光を放ちながら、本体の背後に展開する。


「次で終わらせるので、援護をお願いします!」

『『『了解!!!』』』


 敵の位置情報は全て把握し、ロックオンも終わっている。

 私は本体を操作して、大声で叫ばせた。


「フルバースト!」


 瞬間、半透明の青い刃と熱線が全方位に射出された。

 障害物は器用に避けて、魔物だけを情け容赦なく殺していく。


 どれだけの時間が経ったのか、やがて敵は完全に排除された。


 私はフェザー兵器を回収して、食事の準備を再開する。

 その間に死体から貴重な素材だけを剥ぎ取るように、ゴーレムたちに指示を出すのだった。

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