第5話 ステータスが出たら

ステータス、と叫んだら本当に出た。


おおおおおおおお、まさか本当にステータスが現れるとはな!

て事は何?これ本当に異世界転移なの?

小説の世界が現実に?

いや、現実はそんなに甘いわけないか。

気絶してる俺の夢…って事もあるよな。


そう言いつつ目の前に浮かぶ半透明なステータスの画面を見る。



そこには、


名前:カオ

年齢:39

職業:WIZ ELF DKN HKN

スキル:魔法 精霊魔法 派遣魔法



名前がカオ?

…………。

カオって俺が以前はまっていたネットゲームで使ってた時のキャラ名だ。

ライン・エイジ・ファンタジーというパソコンのオンラインゲーム。

そのゲームのメインキャラとして作ったウィザードの名前がカオ。

本名が香なので安易につけた名前だ。


年齢が39って何でだろう?

俺49だけど?


小説だと異世界に転移した主人公が10代に若返るってのはよくあるけど、39って中途半端だな。

若返ってはいるけど、決して若くはないぞ?

何故に39じゃ。


もしかしたらあのゲームをやめた年齢かな?

確か40前くらいでやめた覚えがある。

東京に出て来てまわりにも職場にも友達がいなくて、パソコン買ってゲームとか始めたのが30歳前で確か10年くらいやってたよな。


え?てことは、今、俺の身体、若返ってるの?

39歳に?


慌てて鏡を探すが、資料庫にも俺が集めた防災グッズにも鏡は見あたらなかった。

あとでトイレで確認するか。

まぁ歳とってからの10年って大して見た目は変わらない気もする。



職業欄のアルファベット、これは見覚えがある。

当時ハマったゲーム「ラインエイジファンタジー」は、ナイト、ウィザード、エルフ、ダークエルフ、ドラゴンナイトの5種族が一緒にモンスターを倒すゲームだった。


ナイトがKN

ウィザードがWIZ

エルフがELF

ドラゴンナイトがDKN

ダークエルフがDE

といった感じで、ゲーム内ではみなアルファベットに短縮して呼んでいた。


俺はメインキャラでウィザード、サブキャラでエルフとドラゴンナイトの合計3つのキャラを持っていた。

職業のWIZ、ELF、DKNは、それだろう。


ん?あれ?

最後のHKNって何だ?

エイチケイエヌ?何の略だ?

そんなキャラは持ってなかったはずだけど。


他にゲームはやってないし、いや、最近はスマホのゲームとかをやってたけど、ほとんどのめり込めずにアンインストールを繰り返してた。

ううむ、HKN‥‥HKN‥


ふと、スキル欄に目を落とすとそこに“派遣魔法”とある。

なんだ?派遣魔法って。


HKN……ハケンかあい!

それ、ゲームじゃなくて今の職業やん!

てか、派遣魔法って何だよ!

俺、派遣で働いてたけど魔法を使った事はないぞ?(てか使えないぞ?)

ツッコミどころ満載のステータス画面だな。


しかも派遣の前に正社員として7年勤めていたのに、

それは表示されないのかい!

まぁ、いいか。


それはさておき、

ステータス画面はネットゲームの画面とは全然違うものだった。

ネトゲの画面よりもっとずっとあっさりとした画面だった。

そして、じっくりと眺めて見たが"ログアウト"のボタンは無かった。


うん、

「ログアウトボタンが無い」ってのは、異世界転移小説のテンプレだな。


が、右下の隅っこに▼印を見つけた。

スクロールボタンか画面チェンジか?

そこに触れると画面が切り替わった。


そこには、5つのボタンがあった。


フレンド

マップ

アイテム

パーティ

クラン


おおう、次画面があった!

もしやゲームの時のフレンド一覧だろうか。

期待しながらフレンドのボタンを押してみるとさらに画面がチェンジした。


左半分はフレンド一覧、右側には


メール

念話

登録

解除


の4つのボタンがあった。


フレンド一覧に当時のネトゲメンバーは誰も登録されていなかった。

というか、フレンド一覧にはひとりも登録されておらず空欄のままだった。


登録と解除は言わずもがな、フレンドの登録と解除のボタンだろう。

メールはフレンドへのメールとして、念話ってなんだろう?

オンラインゲームの個人チャット機能みたいなものだろうか?

今はスマホゲームでも音声チャット機能とかあるみたいだし、そんな感じのものかな?



「よしっ!」と立ち上がり、資料庫を出て事務室へ戻る事にした。



他の人もステータス画面が見えるか確認と、

もしステ画面が見えるなら、誰かとフレンド登録をしてみよう思った。

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