第3話『マネキン』十三句

寺裏の閻魔大王裏盆会


緑陰に入り緑陰の香をまとう


風呑んでのぼりの鯉の逞しき


緑濃くなり行く日毎想い濃くなり


春装うマネキン人形手を伸ばす先



春の日を散らし噴水崩れ落ち


大いなる春の星連れ鎌の月


羽を立て身体をゆすり鈴虫は


白鳥の去り沼広し空広し


オカリナの大道芸に散る紅葉



潜る鴨立ち上がる鴨沼は忙し


海の日のぽつんと消えて秋夕焼け


縄跳びが空を斬り開き風の盆

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