第2話『君の意地』十五句

紫陽花を蹴り上げて行く君の意地


肌みせて君来る町は夏神楽


せはしなく色行き交じり熱帯魚


午後5時の夕立よ来い君の膝


立ち上がる波を片手に夕涼み




ブラウスに風が通れば夏来る


野仏の膝にくるくる風車あり


土用の日迎え撃つ邪鬼立ち向かう


夏の果出会う風にも君感じ


速足の街の気配は夏祭り



東京の地下鉄深し夏知らず


石竹に獣道あり猫の顔


街を筆でひとなで夕日が通る道


疑わず夏ぞ朝顔君の色


愛されずこの世界より逃げ切れず

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