星夜、帰宅

「たでーま~っ、と」


もう一人の同居人、流 星夜ながれせいやが帰って来た。


「お、おう、星夜、お疲れ」


「お帰りなさい、星夜さん」


「やぁ、参ったぜ。


 劇団の稽古けいこの帰りに、女のコ達が、仲々、放してくんなくって」


「この、リア充野郎」


「裏山しい限り……!」


「でも、先刻さっき、歌舞伎町で見掛けたコには、袖にされたんだよなー。


 ルックス、結構、好みだったのに……チッ」


「贅沢言うなよ……」


「はぁー、疲れたから、ジャージに着替えy「うわぁあああ!


 せっ、星夜!


 アメリカでは、家の中と外で、着替えないんだってよ!」


「いや、オレ、日本人だし」


「いつ何時なんどき、女の子に見られても、ビシッと決まってるのが、イケメンですよ!」


「オンナに家とか、教えてねーし。


 調べて家迄、押し掛けて来るストーカー女とか、ねーわ」


「うっ、えうっ」


ヤバい! 赤ちゃんが泣きそうだ!


「あ? 泣き声?」


「うっ、うぅうっ……!


 チキショー、何で、星夜さんばっかりモテるんですかぁ~!


 女の子、取っ替え引っ替えしてぇ~!」


「そりゃ、オレ、イケてるから。


 VTuberでバ美肉しなきゃモテない、瞳とは違うんだよ」


「喜んでる視聴者が居るんだから、いいでしょ~!?」


「もうめろ! とっくに瞳ちゃんのライフはゼロだ!」


「おあ~! おあ~!」


「? クローゼットの中から……?


 拓児、瞳、退けっ!」


「「あっ!!」」


バタンッ


抵抗も虚しく、クローゼットの扉が、勢い良く開け放たれた。

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