後悔

「お先に失礼しまーす」


のぞみちゃん、お疲れ様!


 明日も頼むよー」


カラン……


新宿、歌舞伎町。


赤紫の照明の効いた店から、一人の女が歩道に降り立った。


「はぁ……」


女は、疲れ切った顔で、ネオン街を見渡し、溜め息をく。


「今朝の……あれで、良かったのかな……?


 夢……大丈夫かな……」


女のつぶやきは、夕闇迫る街の喧騒けんそうに、溶けて行った。


「かぁ~の女っ!」


「!?」


突然、背後から声を掛けられて、女が振り向くと、


肩迄伸ばした金髪の、軽そうな男が、歩道の手りに腰掛けていた。


「駄目だって、こんな可愛い子が、歓楽街に一人で居ちゃあ」


「あ、あの、あたし……」


「今、時間ある?


 オレと、遊ばない?」


男は、ニンマリと笑う。


世間的には、美形の部類に入るのであろう。


が。


「……さ、左様ならっ!」


「あ……!」


女は、脱兎だっとの如く、その場から逃げ出した。


「……んだよ、つれねーなぁ」

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