第12話

今日もいつも通り大輝はグランドにいた。しかし以前と少し違っていた。ノックを受ける順番が先頭になっていたのだ。


今の時期は3年生、2年生、1年生と全学年揃っていて、1年生はグラウンド周りをひたすらに走っているのが普通だ。それは今年も同じだが、1人だけノックを受けようとしている1年生がいた。しかも、先頭で。


センターの守備位置には大輝を含め4人がノックの順番を待っていた。


先頭は大輝、、、レギュラーだ。


だが、3年も2年も全く不満は無いようだった。何故なら小柴監督の下、実力主義が徹底されていたからだ。


圧倒的な存在感を放つ大輝は、、、


「あっ、5時半なので帰りますぅー」


先輩達は

「了解」


大輝はマイペースだった。しかし、誰も文句を言うことは出来なかった。


大輝は自分が働く理由を、男とは、人生とは何ぞや、の講義の中でしっかりと先輩達の心に響かせていたのだった。


政治家にもなれたであろうその雄弁さは大人になっても変わることはなかった。


15分後大輝はコンビニのレジの前にいた。

その傍らには小雪が立っていた。


先日の酔っ払い事件以降、立ち位置がかなり近くなっていた。。。


小雪は、大輝の傍らで、、、

いい匂い、、、この汗臭さ、、、最高、、、


酔っ払いへの大輝の立ち回りと、繊細な自分への気配りで完全にダウン、カウントが続いている状態だった。


一方の大輝は、洞察力は一際良いはずだが、女性センサーはブッ壊れていて、小雪の立ち位置など全く気付かないのであった。







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