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有栖川ヤミ

しにたい

生きているのが辛いことに気が付いて19年が経った。死にたい夜をもう何万回も繰り返した。自分のこと包丁で刺す妄想をしてこわくなって、自分のこと自分で刺せない私って本当は生きていたいのかなとか思ったりする。ただの生存本能なのにくだらない。希死念慮ってどうしたって消えてくれなくて、私はそれを恋や信仰でごまかし続けて生きてきたけど、そろそろそれも限界。わたしは心中未遂の経験がある毒親育ちで、宗教二世だけが可哀想と言われるこの世界が死ぬほどムカつく。わたしだってかわいそうだけど!?と大声で言いたくなる。親を選べなかったのは彼女たちだけでは決してない。

震えが止まらない手を何となく動かして文字をうっている。小さな手で細い首を一生懸命締めて、視界が白くぼやけたところでそれをやめる自分は本当にくだらない生き物です。元カレに首を絞められて死にたかった、冬。今ももうラインを送りそう。自分のこと自分で助けられない生き物だからこんな風に死にたがっていて、一生誰かに助けて欲しいと希っている。そもそもママが包丁向けたりしなければ私こんな風にならなかった。ママが優しく育ててくれてたら、パパがあのとき止めてくれてたらって、私の人生道もそんなことが多すぎる。「もう成人なんだから親のせいにするな」ってたまに言われるけど、そういう人って皆普通親育ちで核をぶつけてやりたくなる。お前も私の親に育てられれば良かったのに、そうして私みたいに死にたがっていればよかったのに。

生きていることに耐えられなくて死んでった先人の曲を聴くけど、死にたさが和らぐはずもない。だってその人は先に解放された人だから。死ぬ前に話したい人が一人だけいるけれど、その人はもう声を出すことが出来ない。やさしいひとが脳をやられてしまうこの世界であと何十年もい続けることが私にはやっぱり出来ない。人より造形も知能も少しだけ優れているけれど、精神が終わっている。

もしもこれを読んでくれる人がいたなら私のこと憐れまないでほしい。

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a 有栖川ヤミ @rurikannzaki

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