第31話 密室?
「こ、ここです」
「わぁ……って普通に家!」
俺の家まで20分ほどかけて歩き、ようやくたどり着き俺が何故か少し恥ずかしくなりながら(この理由は自分でも分からない)家を指すと町田さんが少し驚いたような声を上げる。
まぁ、1人暮らしなのに普通の一軒家なので驚かれたのかもしれない。基本的にはアパートとかのイメージ強いだろうし。
「いや、実は1人暮らしなの去年からでして元々親と住んでたんですよ。でも親は海外赴任で今海外に……」
「な、なるほど」
このモヤモヤを町田さんに残したままなのもどうだろうと考えた俺は正直に事実を話すことにする。
そして毎度のことなのだがリアクションが可愛すぎる。……やっぱりこういうのが人気の理由なのだろう。うん、全力でリアクションしてくれるからとても可愛い。
基本的に萌えとか可愛いとかいう概念がイマイチ分からない俺でもそう思うくらいなので、他の人にとってはたまらないだろう。知らないけど。
「じゃあ、外にずっといるのもなんですし入りましょうか」
「うぅ、なんか緊張する」
緊張していたのはなんと俺だけではないらしく、町田さんがそんなことを口にしながら家の鍵を開ける俺についてくる。
そしていよいよ覚悟を決めた俺はゆっくりと家の扉を開けるのだった。
*
「凄っ! とても1人暮らしとは思えないほど整ってる」
「あ、ありがとうございます。とりあえずお茶でもいれますね。ま、町田さんはその辺のソファにでもご自由にどうぞ」
「赤田くん……照れてる?」
「て、照れてはないです」
町田さんに褒められた俺は自分でもよく分からないが顔が熱くなり、町田さんにそう指摘され慌ててそう返す。
「照れてなんかないですからねっ」
「も、もうなにも言ってないけど……」
町田さんが少し探るような視線を向けて来たので俺は思わずまたそう言ってしまうが、町田さんの指摘を受け後悔する。なんか……今俺、墓穴を掘ったのかもしれない。
恥ずかしいので早くお茶をいれにいくことにしよう。うん。
*
「お茶よし! 勉強用具よし! 環境よし! 赤田くんもよし! ということで勉強会始めようか」
お茶、勉強用具、今いる静かなリビング、俺を順々に指差してそう言い放った町田さん。
「まぁ、2回目の勉強会ですけどね」
「やめて、さっきのを勉強会にカウントしないで。あれただの軽い地獄だから。ヘルだから」
俺が思ったことをそのまま口にすると、思い出したくもないと言わんばかりに頭を覆ってしまう町田さん。
いや、分からなくはないけど。町田さん特に大変そうだったし。
「とにかくアレはノーカウント。第1回は今回。アレは含まない」
「まぁ……そうですね」
町田さんは余程さっきのを含めたくはないようなので俺も大人しく頷いておく。
「さ、気を取り直して始めるよ」
「お、おー」
こういう時、どう答えたらいいのか分からない確定ボッチ陰キャな俺はとりあえず町田さんに合わせて、腕を上へと突き出すのだった。
いよいよ、俺と町田さんの初めての勉強会の始まりである。初めてだから。2回目じゃないからっ。ゆめゆめ覚えておいて欲しい。
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次回「賭け」
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