第23話 根掘り葉堀り


「し、失礼しまーす」


 数秒のラグの後、ようやく意識を取り戻し車を出た俺は町田さん、町田さんのお父さんが続々と豪邸の中へと入っていってしまったので恐る恐ると中へと一歩足を踏み入れた。

 なんだが、味わったことのない緊張感だな。


「改めてこんにちわ。是非ここを我が家だと思って暮らしていくんだぞ」

「いや、暮らさないですよっ」


 そして入った途端、すぐさま町田さんのお父さんがそんなことを言いながら立っていた。

 いや、というか内部凄すぎるだろ。

 まず、この靴入れデカすぎ。何百個入る大きさなんだよ。

 そして明かりとかもヤバすぎる。ここの玄関ゾーンだけで何円かかってるんだ。


「さて、折角来てもらったのに早速で悪いが……話を聞かせて貰おうか?」


 俺があまりの豪華さに呆気に取られているとニコやかな顔をした町田さんパパがそう告げるのだった。……忘れてた。



 *



「あら、アナタが噂の赤田くんかしら? ども、私は玲奈れいなって言います。よろしく〜」

「あ、あっ、えっはい。よろしくお願いします」


 俺が早速町田さんパパに連れられてリビングらしき所(広いし部屋デカイしで確証はないが)へ入ると、長く美しい白い髪をした町田さんのお姉さんらしき美しい女性が立っていた。

 ……何故か、エヴァンゲ◯リオンのレイの服を着て。


「おー、今日も母さん決まってるなぁ」

「お母さん!?」


 なんとここで町田さんパパから俺に驚きの情報がもたらされることになる。……この人、お母さんだったのか。いや、肌のツヤとか若すぎて完全に女子大学生くらいにしか見えないんだが。


「まぁ、アナタもうお義母さんなんて呼ばれちゃったわ」

「違いますからね? そういう意味じゃないですから」

「それじゃあ、俺のこともパパと呼んでくれ。じゃないと不公平じゃないか」

「もう、ツッコミが追いつかないっ」


 まだ、町田さんのお母さんの方は分からなくもなかったがパパが意味不明すぎる。なんで、俺がパパって呼ぶんだ。

 というか、アレだな。冷静に考えると星型のサングラスの男とエ◯ァのパイロットスーツ姿の女の人が並んでる図、異様すぎるな。


「赤田くんいら—ママっ!? 私がいない間になんて格好してるの?」


 そこへ服を着替えた町田さんが入って来るが玲奈さんの服装にかなり慌てた模様。


「ほら、花凛ちゃんが男の子の友達連れてくるなんて初めてだし。初対面だから気合い入れないとね」

「気合い入れる所おかしいからっ! というか、お父さんも止めてっ」

「? なんでだ? よく似合ってるじゃないか」

「そういう問題じゃないからっ! もう、赤田くんに変な人だって勘違いされたらどうするの!?」


 うん、なんというか……うん。町田さんには悪いがここまで来るともう勘違いとかで済まされないと思うんだ。普通に変な人達だと俺でも思うし。


「ま、まぁ、でも面白いし町田さんの為に全力だしいい家族だと思いますよ」

「「ふっふーん!!」」

「2人とも自慢げな顔をしないでっ! これは赤田くんの心が広いだけだから」


 町田さんが息をあら上げそう言うがパパさんとお母さんは気にした様子はない。……町田さん大変そうだな。


「さてと、それでは話を聞かせて貰おうか。とりあえず、ここにでも座ってくれ」

「私はお茶淹れて来るわね」

「無視しないで、というかお母さんは着替えてっ、今すぐに!」


 案の定と言った所か好き勝手に動く玲奈さんと町田パパ。町田さんが涙目になってしまっているが……俺も止められる気が全くしないから援護のしようがないのだ。


「それでさっきの質問の続きから聞いていくが……本当に付き合ってないのか?」


 俺がソファに座ってそんなことを考えていると、町田さんパパが身を反対側のソファから身を乗り出してきてそう尋ねてくる。

 相変わらずサングラスの迫力が凄いな。


「いや、ないですね」

「完全な友達というわけか?」

「それは……そうですね、はい」


 町田さんが俺を完全友達だと思ってくれているかは分からなかったので、視線を向けて見ると町田さんがコクリと頷いたので俺はそう答えることにする。


「じゃあ、受粉とかはしてない——」

「そろそろガムテープで口塞ぐよ、パパ?」


 また、町田さんパパがなにかを言いかけた所で今度は珍しくマジギレしている町田さんの迫力のある言葉に押し黙る。


「じゃあ質問を変えるか……花凛のことは好きか?」

「ちょっ、パパ!? なにを聞いてるの!?」


 町田さんは慌てたような様子を見せているが何故か今回は止めようとはしていない。何故か俺を伺うような様子。

 この場合、俺はなんと答えるのが正解なのか?

 好きじゃないと答えるのは町田さんに失礼だし友達としてはそうだから合ってはいる。

 が、俺みたいなやつが好きとか言うのも失礼かもしれないという矛盾も生じているわで……。


 結論を言えば正解が見えて来ない。というか、どれとっても気まずい。


「……花凛姉、さっきから大きな声聞こえるんだけど何事?」

「あっ、お邪魔してます」


 俺がそんなことを考えているとリビング(?)の扉が開き、やや幼い声が部屋の中を響いた。俺は反射でそう返しながら振り返る。

 そこには中学生くらいであろう身長に印象的な白のショートカットに整った顔立ち、そしてやや無愛想な顔をした女の子が立っていた。


「その私の妹の奈々。ちょっと家族以外には割と冷たいから挨拶は返って来なくても落ち込まないで」


 俺が不思議に思っていると感じたのか町田さんが俺の耳の横でそう囁いた。何故か、町田さんパパはカメラを構えていたが是非ともやめて頂きたい。

 こんな所を撮影されもし手違いでクラスに出回ろうものならジ・エンドのいっけね☆てへペロ丸である。


「順兄!? 順兄だぁ!!!」

「やっぱりなーちゃんだよね!?」

「えっ? えっ?」


 しかし、次の瞬間に奈々ちゃんことなーちゃんは俺の元へと走ってくると、手を握ってその場をピョコピョコと飛び跳ねる。

 そう、俺が戸惑っていたのは耳への刺激だけではない。完全に知り合いだったからである。なーちゃん……町田さんの妹だったのか。

 町田さんは心底驚いたようで普段からは考えられない少し抜けた「えっ?」を連発していたが、俺は突然のなーちゃんとの再会に驚きっぱなしでそれどころではないのだった。





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 次回「この気持ちはなんだろう」


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