変わらない日常と変わりゆく日常編
第22話 町田家訪問
「んで、どうなんだ? 来てくれるか?」
星柄のサングラスをかけた町田さんのお父さんが俺へと更に迫って来る。純粋に恐怖!
完全に街でヤ文字の人に絡まれた時と同じレベルの怖さである。
どうする? 逃げるべきか?
でも、親御さんからすればなにも説明はないのは不安だろうし……別にやましいことはないんだから家に行って話すくらい——うん、全然難易度ベリーハードだわ。
なにも簡単な要素なかったわ。
そもそも町田さんの家に上がること自体俺にとってはハードルエレベストみたいなものなのに、その上町田さんの家族の前で話しをするとかもう高すぎて大気圏超えて宇宙行っちゃうよ?
酸欠起こしてしんじゃうよ。考えるのもやめちゃうよ。
「あ、赤田くん? 無理なら全然いいんだからね? というか、お父さんも無理言わないでっ」
俺がそんなことを考えていると、俺の顔色を見てか町田さんが助け舟を出してくれる。
「というか、花凛はなんでさっきからいつもみたいに「パパ」って呼んでくれないんだ?」
「っ!? 違うっ、違うから、赤田くん違うかね?」
「パパ、超悲しい〜」
「もう……やめて」
しかし、助け舟を出してくれた町田さんはあえなく撃沈され、顔を覆ってうずくまってしまった。町田さんパパ恐るべし。
「まぁ、花凛の言うように無理にとは言わないが……どうだ? 私が作ったクッキーもつけてやるぞ?」
どうする? もう、町田さんの援護は望めない。自分で決めるしかないんだ。俺は一体どうしたい?
でも、今後も町田さんと友達として関係を続けていくのなら、今日のことを話して安心して貰わねば親御さんの心配は絶えないのかもしれない。
それに純粋に町田さんの家族がどんな人なのか気になっている自分がいるのも確かだ。
「じゃあ、お願いします」
「決まりだな、2人とも車に乗りなさい」
俺の言葉を受けて町田さんパパがついてくるようにと手招きをする。
「うぅ、パパの馬鹿っ」
「おっ、ようやく言ってくれた。パパ、嬉しい〜」
「もう、嫌っ」
そして横では何故か町田さんが盛大に自爆し、再び顔を覆って落ち込んでしまっていた。
勢いで答えてしまった感は否めないが……果たしてこんな調子で大丈夫なのだろうか?
正直、町田さんの援護なければかなり厳しい俺はそんなことを思いながら町田さんパパの車(ミニクーパー)へと乗り込むのだった。
*
「それで君は何歳なんだ?」
「16歳です」
「趣味はあるのか?」
「チェスとかヨーヨーとかですかね」
「一人暮らしと言っていたが親御さんは?」
「2人とも海外で……」
「好きな子のタイプは?」
「しょ、ショートカット? というか、一旦休憩くれませんか?」
車に乗ったはいいものの俺は隣の町田さんパパから質問責めにあい焦っていた。い、勢いが凄すぎる。
ちなみに町田さんはさっきの件がかなり効いたのか後ろの席で1人うずくまっていた。なので俺に遠慮ない攻撃が飛んで来ているというわけだ。
「花凛とは今日どこまで関係を進めたんだ?」
「いや、今日は別にカフェ屋に学びに行っただけでして特に関係を進めたとかは……」
「まさかもう花凛とチョメチョメしたとか言わないだろうな?」
「いい加減にして、パパっ!」
恥ずがって顔を伏せているとは言え、流石に耐えらなくなったのか町田さんがそんな声を上げる。
というか、チョメチョメってなんだ。俺が知らないだけでそんな言葉があるのだろうか?
「あの〜、そもそもチョメチョメってなんですか?」
「赤田くんもそんなこと一々聞かなくていいからね? というか、聞いちゃダメっ」
俺は純粋に疑問に思ったのでそう尋ねてみるが後ろの町田さんからそんなことを言われる。
「えっとだなぁ、まぁ要するに雄しべと雌しべ——」
「パパは本当に黙っててぇぇぇ」
町田さんパパがなにか口を開きかけたところで町田さんの絶叫が車内を響き渡る。というか、町田さんがさっきから大変そうだ。
「っと、そんなことを話してたら着いたな」
すると町田さんパパがそんなことを口にすると、車をバックさせて恐らく駐車場であろう所へと車を停止させた。
「さっ、着いだそぅ。2人とも降りてくれ」
「はぁ〜、やっと終わった……」
町田さんパパがそんな声を上げ、町田さんもようやく解放されたと言わんばかりに外へと出るが俺は動けずにいた。
というのもデカイのだ。駐車場も家も。というか、家に至っては完全に豪邸のそれである。
いや、確かにミニクーパーの時点で少しお金持ちなのかなぁくらいの認識はあった。
でも、だとしてもここまでだとは思っていなかったのだ。
結論、俺は考えるのを止めた。
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次回「根掘り葉堀り」
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では!
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