学年一の美少女との東京デート(?)編

第9話 待ち合わせ……


「ふぅぅぅ」


 俺はゆっくりと息を吐き出す。現在は土曜日の8時30分、丁度「し◯じろうのわお!」がやっているような時間帯。しかし、今日の俺は何故かこんな早い時間にも関わらず駅前に立っていた。

 理由は単純明解。予定があるからである。うん、分かりやすいな。


 そして休日の予定(リア充定期)というワクワクワードにも関わらず、足は震え汗もダラダラと流れていた。

 ちなみに俺は「しまじ◯う」の中だと空野 とりごろう(トリッピーのお父さん)が好きである。……若鳥もいいけど熟したのもいいよね。


 と意味不明なことを考えてしまうくらい緊張しているわけだ。……流石にマズイな。

 俺は気を紛らわせる為にもスマホを開き乗る新幹線をチェックをする。


「あっ、こんにちわ。赤田くん」

「よし、9時14分発……のぞみ296号と。大丈夫だ。落ち着け俺。心臓を落ち着かせろ……一回止めるくらいの勢いで」

「うん、本当に落ち着いて? 一回でも止めちゃダメだから」


 後ろからそんな声がかけられ俺はハッとする。確かにヤバいこと口走ってたな、俺。全然、冷静じゃないじゃないか。

 しっかりもう一度深呼吸だ。


「ふぅぅぅ」

「ラジオ体操?」


 よし、落ち着いたな俺。やはり深呼吸は偉大なり。しかし、さっきからどこか違和感があるな。なんだ?


「って、町田さんっ!?」

「うん、遅くない?」


 俺が後ろを振り向くと少し戸惑ったような顔をした町田さんが立っていた。い、いつの間に。


「いや、なんか私が瞬間移動でもしてきたみたいな感じのオーラ出してるけど普通に歩いて来ただけだよ?」

「そ、それよりも大分早くないですか?」

「いや、赤田くんには言われたくないよ」


 俺が話を逸らしたことに気づかず話題に乗ってくれる素直な町田さん。……なんか、俺が悪いことでもしてる気分だ。

 なんという罪悪感。朝からアンハッピージャムジャムな気分である。

 というか、それよりも今日の町田さん……。


「? どうしたの?」

「いや、今日はなんかそのいつにも増して綺麗だなと」


 俺は思ったままのことを口にする。今日の町田さんは珍しく三つ編み。それに加え清涼感溢れる白のワンピース。

 といった普段は目にすることのない私服姿の時点でドキドキなわけだが、なんかちょっとワンピースの丈が少し短めな気がしなくもない。

 町田さんは基本的にスカート丈とかも長めのイメージだったから少し意外だ。


「あっ、やっ、これは違う。違うからね? 東京行くからオシャレしたかったというかなんというか」

「わ、分かってますよ」


 町田さんにそう言われ俺は即座に頷く。別に町田さんが俺とのお出かけを意識して、こんな格好をしてるなんて考えるほど俺は自惚れてない。


「でも、ただそれでもこんな綺麗な人とお出かけとか俺、役得だなと思っただけですよ」

「っ、そうなんだ」

「はい」


 珍しくやや歯切れの悪い町田さんの返しに俺は頷く。そして流れる微妙な空気。


「な、中行ってもうホームで待ってましょうか? 乗り遅れたら最悪ですし」


 この空気に耐えられなかった俺の提案に町田さんがコクリと頷いたので、俺と町田さんは駅の中へと入っていくのだった。

 それにしても町田さんは新幹線が来るまで終始黙り込み、顔も合わせてくれなかったのだがどうしたのだろうか?


 町田さんにしては少し変だなと思った俺であった。



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 次回「移動……です」


 短くてスイマセン。区切りが良かったので。

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 では!



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