白いパンツ

第1話


 喧嘩を売られたことは今まで一度もない。


 ガキの頃に近所の悪ガキと一悶着あったくらいで、それ以外は皆無だ。


 あくびが出るくらいな平和な日常を送ってきた。


 世界は平和。


 ずっとそう思ってきた。



 …それなのになぜか、誰かが道に立ち塞がっている。


 立ち塞がっている?


 いや、そんなこと日常で起こるはずがないと思い、目を擦った。


 道のど真ん中に仁王立ちしているセーラー服。


 念を押しておくが、「道のど真ん中に」だ。


 明らかに通行の邪魔をしている。


 …ここ、公共の道路なんですけど。



 「あの…、すいません」



 視線が合ったのは、当然と言えば当然だった。


 腕を組んで突っ立っているのだ。


 というか、こっちを見てる!?


 おいおいマジかよ…と思いながら視線を上げたところだった。


 その女と目が合ったのは。


 

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