番外編2.村上 優奈
私の初恋の人、小野寺しき。
友達はみんな「しき〜」なんて呼んでるけど、私は未だに恥ずかしくて名前で呼べないし、話す時も裕子達と一緒の時くらいしかないから、そんなに距離は近くない。
……私が彼の事を好きになったのは、小野寺がみんなに優しくて、とってもかっこよかったから。
それだけ?って言われるかもしれないけど、それだけなの。
意外とそういう事できる男子って、少ないんだよ?
そして、そんな小野寺は、まぁまぁモテる。
だけど……彼女が居た事は無いみたい。
でも、ウワサ話を聞く限り、上級生の人達が多いみたいなんだよね。
みんな小野寺の顔しか見てないの?!って、本気で思っちゃった。
……確かに、小野寺はカワイイ顔してるけどさ。
でも、男の子なんだから、ちゃんと頼れる人で、かっこいいんだから。
『村上さん』
キョリはまだ遠いけど、ちゃんと小野寺の事見てるって分かって貰えたら、意識くらいはしてくれると思うんだよね。
だから、思い切って肝試し、一緒にまわりたい人に小野寺を選んだんだよ。
『れいちゃん!』
だから、転校生の……黒木さん?の事、名前で呼んでた時は、ちょっとビックリしちゃった。
ほら、小野寺って大体、女の子の事はさん付けか苗字呼びだから。
れいちゃん……れいちゃんって。
何か、……小野寺じゃないみたいだったよ。
だって小野寺って、もっとクールでさ、『れいちゃん』なんて言って慌てたりしない人だと思ってたから。
心配だったんだよ?
もしかして、黒木さんに何かされたんじゃないかって。
ほら、黒木さんって……日菜子ちゃんの事殴ったでしょ?
で、小野寺の事も殴ったんじゃないかって言われてるし。
そのウワサの後は一緒に居る所も見たこと無かったのに、……やっぱり、黒木さんが何かしたんだ。
「黒木さん!」
「……」
修学旅行中の、帰りの準備の時間。
思い切って聞いてみた。
「……あ、あー…なに?」
無視されたと思ってたら、かなり遅れて黒木さんは答えた。
「えっと……小野寺と仲良いの?」
「誰?」
「えっ?小野寺しき……知らないの?」
「あぁ……しき」
黒木さんは、何故か小野寺くんの苗字を覚えてなかった。
それとも覚えてないフリで私への当てつけ?
……少なくとも、私はそう感じた。
「……黒木さんにとって、小野寺って何?」
私が聞くと、黒木さんは、
「変」
とだけ言って笑った。
私には、その笑顔がとても怖かった。
ねぇ、小野寺。
しばらく黒木さんと二人で学校、休んでるよね。
……何かあったの?
心配だよ。
私はいつでも、小野寺の事分かってあげるから、ちゃんと無事に帰ってきて……。
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