第2話

 実は私には秘策がある。といっても、こっそり鍛えたものだから、有用なのかは未だ神のみぞ知るだけど。私はコンパスを念じた。ワキャル王国は西に位置している。これで大体の位置関係が分かれば……!……出現したコンパスの針はぐるぐると回転した。磁力どうなってんの。……仕方ない、とりあえず道なりに行くか。標識とかきっとあるでしょ。しばらく歩くと、泉が近くにあるという標識が現れた。ありがたい。水分補給しよう。泉まで行くと、魔力で水をひいた。手の中に収まるくらいの水を飲み、残りは水筒に入れる。立ち上がって道に戻った。あーあ、飛行魔法使おうかな。まだ練習中だから不安があるけど。近場の枝を手に取り、思い切って跨ぐ。地面を蹴ると、ふわりと浮かび上がった。いつもより調子がいい。この調子なら今日中にワキャル王国に着くかも。

 天気は快晴だった。私は呑気に、向こうについたら観光でもしようかな、という気分に浸っていた。まさか着く少し前に王国で謀反が起こるなんて思わなかったのだ。予知魔法はまだ私のものではなかった。

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