第7話

 俺は姫野のことが好きなのか。孝祐を諦めてまで、俺は姫野を庇った。気がつくと、金糸雀の家まで引き返していた。チャイムを押そうとすると、丁度玄関が開き、姫野が出てきた。

「姫野」

「江藤君……さっきはごめん。私、いけないこと言っちゃったかな。江藤君と喫茶店に行ってるって言ってから、利一君ずっと辛そうだった」

「……俺と利一は付き合ってたんだ、さっきまで。でももう別れた」

「私のせい、だよね……」

 姫野はうなだれた。

「……俺は姫野が好きなんだと思う。それを察したから、孝祐は身をひいたんだ。俺は……一度姫野と話がしたい」

「私も……」

 二人並んで歩き出した。雨は上がっていた。

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