間奏
闇の国の王、ガルシアは王座に座り、赤ワインを片手にモニターを眺めていた。崩れていく城の映像が映っている。
「……ふぅ、これでナラリア公国は終わりだな」
闇の国と隣接したナラリア公国は、闇の国が震源の地震によって大打撃を被った。国王、ならびに第一王子のエドワードが死んだという報が来ている。
「どうだ? 父と兄が死んだ気持ちは」
ジャラリ、と鎖をたぐり、その先の男を前のめりにする。憎々しげな視線が絡みついた。
「よくも……」
あまりの憎さに二の句を継げないらしい。ガルシアは愉悦の表情で、男の顎を撫でた。
「その顔が見たかったんだ。……私が憎いか、リキュア」
「……殺す」
「ふふ、勇ましいね。……これで、君の故郷であるナラリア公国は私の支配下に入った。君が故郷に帰る必要もなくなったわけだ」
リキュアと呼ばれた男はがっくりとうなだれた。
「君は自殺することすらできない。そういう魔法をかけているからね。僕と一緒に死ぬまでダンスをしよう。支配の騎士は我々と共にある」
突然の崩壊音。闇に包まれた城は突如として崩落し始めた。
「何。……まさか、私の魔法を我が物にして、攻撃魔法に転じたのか」
リキュアは口の端を上げた。
「そこまで力があるとは思わなかったろう。意図的に魔力を抑えていたんだよ。ざまみろ、闇の王」
二人の頭上から、瓦礫が降り注ぐ。
「これが死か。……リキュア、死んでもまた君を探し出そう。私が唯一愛した人間よ」
リキュアは憐れみと憎しみと、ほんの少しの同情がこもった目で、闇の王を見つめた。
「その時は、もうお前に父や兄を殺させはしない。お前を封じるのは私だ。頼むから、もう罪を犯すなよ」
ひときわ大きな瓦礫がリキュアを殺した。闇の王は気力を失ったように頭上を見上げ、運命を受け入れた。
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