ブルーな感情と創作

森井綿子

第1話 たくさんの女の子たちの死

いつも頭の中に死体のイメージがある。

亡くなってしまった女の子。

インターネットサイトを見ている時に、台所でティーポットにお湯を注いでいる時に、ふと脳裏に浮かぶイメージに、その子が誰なのだろうと考える。

死とかそういったものを自分が考えていることに驚く。


                ***


生まれてから今までの間、身近なところで女の子が亡くなるなんてことはなかった。

違う。たった一度あった。あまり覚えていないが小学校の時に、五学年くらい下の女の子が亡くなる出来事はあった。

霊柩車が小学校まで来て、お見送りをした断片的なシーンだけはよく覚えている。

一学年に二クラスくらいしかない田舎の学校。その子のことは知らなかった。

聞いた話では、自分とは家が逆方向で、遠いところからバスで通学している女の子ということだった。

遺影に写るその女の子はにこりと笑っていて愛らしい。

「どうしてこの子が」と、とても不思議で仕方なかった。

どうしていいのか、とにかく感情の行き場に困ったものだ。

ただただ、力む手を目の前で合わせ、ぎゅっと目を固くつむることしかできなかった。


                ***


たくさんの死んだ女の子たちは、台所にいるし、ネットにいるし、ワイドショーのニュースの中にもいる。

幻覚というわけではなく。頭の中の連想ゲームの終着点に彼女たちが待っているのだ。

もしそのイメージの色を表現するならば朝のよく晴れた空のような発色の良いブルーに薄い灰色を混ぜた、綺麗とも綺麗じゃないとも言える不思議な色。

うちの母は辛いことがあると台所に蹲ってよく人生を嘆いていた。

私がよく訪れる占い関連のインターネットサイトも辛いことがたくさんたくさんあって、藁にも縋る思いでたくさんの女の子たちが訪れているのかもしれない。


                ***


私は基本女性が苦手ではある、ころころ変わる感情の変化に可愛らしく感じることもあるが、大半がジェットコースターのように振り回される結果に終わる。

でも宿命というか運命というか私は彼女たちの味方でなければならない気がする。そんな女の子のことをこれからも書いていかなきゃならないと思う。

行き所のないどうしようもない思いが世にはたくさん溢れているのだと思うから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ブルーな感情と創作 森井綿子 @morii_watako

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る