第4夜 ゴブリン 前編 様々なバリエーションが生まれた種族

竜の夜は早い。


これは太陽が落ちると気温が低くなるため、余計な体力を使う前に寝てしまうという合理的な身体設計からなるものである。

けっして吾輩がぐうたらだとか、怠け者とか、社会不適合竜というわけではないのである。ないのである。(大事な事なので二回言いました)


だが、そんな生活リズムを崩す出来事がやって来た。

「ご主人様。侵入者です」

 ねぐらに住み着いたコボルトたちがやってくる。

「ふむ、足音からすると40体。小柄な生き物のようだな」

 

「ところで、モフモフ君」

 可愛い犬型のコボルト君に声をかける。

「はい。何でしょうか?ご主人様」

「なんで、そんなに苦しそうな顔をしているの?」


~ ゴブリン 様々なバリエーションが生まれた種族~


普段は絵本の世界に出てきてもおかしくないような笑顔のモフモフコボルトくんが、今日は眉間にしわを寄せている。

 すると、近くにいた同じ犬型のコボルト君たちが驚いた顔で

「ご主人様は、この悪臭を感じないのですか?」

 と言われた。

 どうやら彼らの嗅覚は犬と同じで人間よりも優れているらしい。

 なので人間型や小鬼型のコボルト君たちは、そこまで臭いを感じてないようだ。

「うむ。吾輩は鼻ではなくて舌で臭いを感じるのでな。睡眠中は近くの香り以外はそこまで鋭敏にしないようにしておる」

 と言った。

 これはヘビやオオトカゲが頻繁に舌を出入りさせるのと同じで、爬虫類は舌に空気中から吸着した臭い物質の分子を鋤鼻器(じょびきかん) : 両生類、爬虫類、哺乳類が持つフェロモン受容に特化した嗅覚器官。 匂いを感じる主嗅上皮(いわゆる鼻の粘膜)とは独立している。ヘビやトカゲ以外はフェロモンの受容が主たる機能)に運び、外界の様子や獲物を探っているためだ。

 なので、ちょっと舌を出して様子を見ると

「……………………ちょっと焼いてこよう」

 耐えがたい悪臭が風に漂って来るのが分かる。

 生ごみとか、雨に濡れた犬などというレベルじゃない。

 ここで説明するのがはばかられるほど汚い場所での臭いに匹敵する悪臭である。

「これはおそらく、隣の山のゴブリンたちの匂いだと思います」

 モフモフ君はそういうと、苦しそうに鼻をつまむ。

 吾輩の貴重な癒し要因に何たることをするのだ。

「犬型のコボルトたちは、奥の部屋に避難しておきなさい。嗅覚の弱いコボルトは一体案内についてきなさい」

 そういうと、臭いの許へ全力疾走する。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ゴブリンは臭い。


これは最近のファンタジー小説の設定によって異なるだろう。

 人間に融和的な種族となると風呂などの文化的生活を覚えて臭いは消える。

 だが、洞窟に潜んで人間の敵としてふるまう場合、猪が体表に付いているダニなどの寄生虫や汚れを落としたり、体を冷やすために泥地(ぬたば)で転がりまわるような生活をしている事が多い。

「毒矢を作るためにわざと不潔な環境を生み出す種族もいるそうですからのう」

 ドワーフみたいな髭の生えた小人型コボルトが相打ちを打つ。

 

 そんなのが住処に来られては厄介だ。

 見敵必殺。

 会話の代わりにドラゴンブレスで消毒してやろう。


 そんな殺意ニンニクマシマシヤサイマシアブラカラメな状態で臭いの許へと疾走。

 ピット器官(熱を感知する部分)で角を曲がるとすぐそこに、悪臭の許がいるのがわかる。

『汚物は消毒だーっっっっ!!!!』

 名作漫画のセリフを吐きながら、燃やし尽くそうとしたが


「……あれ?」


 異様な光景に動きが止まった。

 そこにいるのは醜い怪物。小柄で、醜悪な顔つきをしており一目で『汝は邪悪なり』と見た目で判断できそうな種族だった。ただ、吾輩の知っているゴブリンと違うのは、背中に妖精のような羽が生えている存在がちらほらいたということだ。


「どうされました?ご主人様」

 不思議そうに尋ねるコボルト(翁)。

「いや、あれ全部ゴブリンなの?」


 そう尋ねたのは、そこにいるのはどう見ても、羽の生えたコスプレをした禿げ頭のおっさん。としかいいようのない生物がいたからだ。


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 すいません。花粉症か風邪か、くしゃみが止まらないので今日はここで一度話を切ります。

 今年の花粉はマジでシャレにならず、毎年飲んでた薬も半日で効かなくなり、体調が悪いと今日みたいに地獄のような状態になります。

 皆さんもアレルギーにはお気を付けください。

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