第13話
ともに発動する僕の魔法とアレティアの魔法。
喰らえば僕でもひとたまりもないような特大魔法を二つも喰らってなお、魔王は未だ生き残っていた。
「……ふー、ふー、ふー」
だが、生き残っただけだ。
いくら魔王と言えどもあれだけの魔法を喰らえば無事じゃ済まない。
「終わりかしらね」
全身より血を流し、立ち上がる力もないのが、地面へとへたり込んでいる魔王を見てアレティアはそう判断する。
「……終わらぬ」
だが、そんな状況であっても魔王は瞳に力を失わず、こちらを気丈に睨みつけてくる。
「貴様のような下衆に我が……負けるわけにはいかぬのだッ!お前らの好きにはさせんぞ!我が同胞はッ!我が守るッ!!!魔族の呪われた呪縛を解き放ち、魔族の成果を作るのだァァァァァアアアアアッ!!!」
「……ッ!?」
お約束の第二形態。
魔王は最低でも一段階変身を残しておくべきだろう。
魔力が吹き上がり、魔王の体が盛り上がり、急速に変化していく……人型のその姿からより恐ろしく、より強く。
「隙だらけだよ?」
だが、この世界はゲームじゃない。
変身なんて言う隙を全力でこちらへと開示されたら攻撃するしかないだろう。
「……なっ」
変身中であるが故か。
他人の世界への抵抗力が薄れたことを確認した僕は一切の遠慮なく世界魔法を発動。
魔王を自分の世界へと引き込む。
「さようなら」
手心は加えない。
圧倒的な力で叩き潰す……一切のお遊びなしで魔王を殺しに行く。
「……いっ!?」
魔王の肉体を破壊し、魂まで完全に破壊する。
二度と復活出来ぬよう、魔王の何もかもを自身の世界で壊し、このまま魔王が死んだ世界を崩壊させる。
「……えげつないわね」
これで魔王討伐完了。
「目の前で隙を見せる阿呆が行けないんだよ。大人しく待ってあげる必要ないね」
「まぁ、それもそうね……じゃあ、これで魔王関連の話は終わりかしら」
魔王は倒した。
魔族の拠点は潰した。
補給も王も失った魔族の兵士が戦争で勝てるわけがないだろう。
「だね」
「戦争の続きを、と言いたいことだけど……もう私の手持ちはないのよねぇ。これ以上突っ込んだら国の国防にかなりの影響を与えるわ。諦め、かしら?」
「おや?そんな簡単にあきらめてくれるの?」
「ふっ。諦めるしかないじゃない……ここまで完敗すると逆に清々しいわ」
「……そう?」
「えぇ……軍を動かした関係もあって帝国内部で色々と動かさなきゃいけないことがあるから私は戻るわね……それじゃあ、戦後会議の時に」
「うん。また」
アレティアは飛行魔法を使って、帝国の方に帰っていった。
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