第4話

 アレスの告げるしょっぱい魔王城へと奇襲を仕掛けた僕たち。


「ちょっと多すぎじゃないかな!?」

 

 そんな僕たちは魔王と戦うのではなく、島の方にいた魔族たちとエンドレスで無限に戦わされていた。

 魔王の影などどこにもいなく、ただただ人間へと殺意だけを向けてくる魔族をボコボコにしていく。


「……これは、いくら何でも気分が悪いな」

 

 戦闘員は前線の方に出払っており、ここにいるのは子供を産むための苗床の女に種男、成長途中の子供に生産を行っている非戦闘員である。

 そんな彼ら、彼女らが僕たち三人に勝てるわけがない。

 

 圧倒的な力で非戦闘員をフルボッコにしていると言う現状を前にアレスが不快そうに眉を顰める。


「魔族を僕たちと同じ人間だと思わない方が良いよ……彼らはこう作られたんだからさ」

 

 そんなアレスの言葉に対して僕は呟く。

 魔族とは人間を殺すための生物なのだから。


「……それは、わかっているんだがッ!」


「というか、魔王はどこかしら?」

 

 大規模な魔法を発動し、魔族の兵站を支える農地を焼き、焼畑農業のお手伝いをしてあげているアレティアが首をかしげる。


「わからん」


「……私たちにビビっているのだとしても、もうそろそろ出てこないとヤバい頃合いだと思うのだけど」


 僕の言葉に対して徹底的にインフラやら各種生産拠点を破壊して回り、後方より戦線を支えられないようにしているアレティアが不思議そうに首をかしげる。

 確かにこのまま僕たちを放置していたら、戦線は補給を受けられずに総崩れ。


 人間はみな殺すの精神を持つ魔族は自分たちが占領した土地に人間が生き残っているのを許さないだろうから……全員徹底的に皆殺し。

 自分たちが占領した土地から物を徴収するなんて言う手段も取れないだろうから……ここを滅ぼされれば魔族の戦線はどうしようもなくなるだろう。


「これだけやってもいないってことはここに居ないのか……?」

 

 アレスがそもそもの話を告げる……まぁ、この辺りで良いだろう。


「うし。アレスはこのままここで暴れてここ壊滅させておいて……僕は魔王が良そうな場所思いついたからそこ行くわ」


「……ッ!まさか!」

 

 僕の言葉を聞き、アレティアがハッと目を見張り、信じられないものを見るような目を向けてくる。


「……?」


「じゃあ、僕は行ってくるから。後は任せてね?」


「待って!私も行くから!」

 

 僕とアレティアは共に飛び立ち、別の場所へと向かったのだった。

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