第50話
レレイ王国。
ドレシア帝国の隣接する国であり、フェルジャンヌ王国の同盟国であるこの国はアレティア率いるドレシア帝国軍に国土のほとんどを占領され、王都まで陥落していた。
「これよりレレイ王国の国王の処刑を執り行う!」
頭であったアレティアがいなくなり、秩序を失ったドレシア帝国軍が暴走した結果。
国王の処刑などと言う蛮行をドレシア帝国軍は執り行おうとしていた。
そんな中。
「君は何をしているの?」
僕は人影のない裏道の一角にやってきていた。
「……ふふふ。やっぱり気づいた?」
僕がやってきた裏道に居たのはもうすでにここに居ないはずのアレティア。
「当然だ……気づかないわけがないだろう。んで?こんなところで何をしているの?」
「ふふふ。なんでだと思う?」
「さぁな……?僕は馬鹿だからわかんないや。んで?やる?別に僕は構わないけど」
「あらひどい。同盟国の王都を荒野にでも変えるの?」
「別にこの国の王都が荒野になっても別に僕は痛くないからなぁ」
「ほんとひどい」
僕の言葉にアレティアはくすくすと笑う。
「……婚約、したんだね?」
「まぁね」
ハイライトのない瞳で僕の方をじっと見つめるアレティアの言葉に頷く。
「まぁ、半ばこうなるとは予想したいし今更何も言わないけどね……ふふふ。どうせフェルジャンヌ王国を滅ぼせたら関係ないものね?」
「約束は守ってね?」
「わかっているわよ。魔王はちゃんと殺すわ」
「それなら良いとも……」
「ノア。私は貴方と戦い、勝利し、必ずや私のものとする」
「ふっ。勝つのは僕だよ」
僕はアレティアの言葉に対して力強い自信でもって返す。
「……久しぶりのお話だしもっとゆっくり喋っていたいんだけど、うちの部下たちの暴走が止まることを知らないようだからね……もうここら辺で時間切れかな?」
「まぁ、そうだね」
「それじゃあ私はここで……ちゃんとレレイ王国の国王は救ってよ?」
「わかっているよ……んじゃ、また今度」
「えぇ、また今度」
僕は空を飛び、この場から立ち去るアレティアへと手を振って彼女を見送る。
「良し……んじゃ、僕も働き始めますか」
その後、僕は今まさに処刑が執り行われようとしている広場の方へと視線を向けた。
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