第24話
明かりを消し、気配を完全に断ち、静寂に包まれる僕たちが潜む砦。
その横をフォレンク王国の大軍が現在通過している最中であった。
「……頃合いだな」
ちょうど砦から敵指揮官たちを攻撃出来るタイミングになった瞬間。
僕は魔法を発動させて、
「総員ッ!かかれぇ!!!」
兵士たちへと号令をかけた僕は砦を飛び降り、地面へと降り立つ。
「な!?」
「て、てきしゅ!?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
自分の剣に魔力を纏わせ、刃の長さを底上げする僕は剣を縦横無尽に振るい、敵を殲滅していきながら敵指揮官が集まる場所へと突撃する。
「と、止めろッ!ゼクッ!」
「了解!」
真っ直ぐに向かって進む僕の行く手を阻むように一人の男が立ちふさがる。
白銀の鎧をまとい、双剣を手にする金髪の優男風の男……かつて、小国を単騎で滅ぼし、国殺しの獅子という二つ名で呼ばれるようになったフォレンク王国が誇る英雄、ゼクが僕の前に立ちふさがる。
「これ以上の好き勝手は許さないッ!」
「汝如きが我を止められるとでも?」
僕は己の魔力をゼクへと叩きつけ、周りにいる兵士ごと遥か後方へと吹き飛ばす。
「後は任せた!アレナ卿ッ!」
指揮権をアレナ卿へと託した僕は吹き飛ばしたゼクを追って混戦が繰り広げられている戦場から離れる。
こちらの兵士は1000ばかりなのに対して敵兵の数は1万を超える。
数の上では完敗しているが、地の利は圧倒的に上。
僕がゼクをボコす時間くらいは稼いでくれるだろう。
「くっ」
「あまり時間もないので。叩き潰させてもらうぞ」
「……減らず口をッ!」
僕の剣を双剣でガードするゼクが声を荒らげ、僕の少しばかり重い体を思いっきり吹き飛ばす。
「邪魔だな」
自分の体の動きを阻害する鎧をサクッと魔法で燃やし、己の服を魔力で編み込んで作る。
「ふむ……これで良き。それでは始めようか」
僕は己に手にある剣をゼクへと向け、不敵な態度で口を開いた。
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