第23話

 氷の大地を駆け抜け、ルクス連合国の防衛線を食い破り、大きく前線を押し上げた僕たちは今、とある砦にこもっていた。


「……何故、こんな砦にこもっているのでしょうか?」

 

 僕とアレナ卿。

 そして、ラインハルト公爵家軍並びにリーミャ王国軍の精鋭、総勢1000名が敵のいない砦にこもっていた。


「ルクス連合国の王都へと攻勢を仕掛けず、我々だけで敵のいない砦にこもっている理由がわかりません」


「ここがどこだがわかっていますか?」


「当然です。ここはルクス連合国と国境を接するフォレンク王国に対抗するための防衛拠点でしょう?こんなところにいるい……まさか?」


「そのまさかですよ。フォレンク王国がそろそろ動く頃合いでしょう……時期としては我々がルクス連合国の王都へと攻勢を仕掛けたとき……そこを強襲してくるでしょう。フォレンク王国とルクス連合国の関係はずっと不穏でしたが、ここ最近になって関係を軟化させているようですし……まぁ、来るでしょう。自国の覇権を獲得するために。今ほどフェルジャンヌ王国の防衛が薄い時期はないですからね」

 

 現在、フェルジャンヌ王国を守る各領の貴族は遠征中であり、フェルジャンヌ王国を守る軍は王都を守る近衛兵団と治安維持に奔走する王国軍だけである。

 

 ここでラインハルト公爵家軍並びにリーミャ王国軍を打ち破り、そのままリーミャ王国経由でフェルジャンヌ王国を攻め滅ぼせればフォレンク王国の覇権も見えてくる。

 野心を隠そうともしていないあの国であれば当たり前のように攻撃を仕掛けてくるだろう。


「別にフォレンク王国を僕一人で滅ぼしてもいいですが……フォレンク王国には英雄がいますから。僕が英雄を殺す間、軍隊と戦ってほしいんですよ。アレナ卿たちには」


「……あの英雄に勝てるのですが?一人で一国を落として国殺しの獅子に」


「愚問ですね。余裕ですよ」

 

 僕はアレナ卿の言葉に頷く。


「フェルジャンヌ王国が大国たる理由を見せてあげますよ」

 

 別に僕の強さはフェルジャンヌ王国関係ないけどね!

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