第20話
僕が国王陛下より命令された戦地はリーミャ王国とルクス連合国の戦線だった。
全ての発端となった両国の争いは戦争が激しくなっていくに連れて置いてけぼりとなり、両国の争いの激しさは下火となり、膠着状態が続いていた。
僕の任務はそんな状況を打破し、ルクス連合国を降伏させること。
そして、ルクス連合国並びにリーミャ王国と隣接する大国、フォレンク王国がどう動くかの見極めも任されていた。
「お初目にかかります。ノア・ラインハルト様」
「えぇ。始めまして。アレナ卿。楽にしてもらって構いませんよ」
ルクス連合国との最前線へと赴いた僕はラーニングラドの消滅によって突然自分の家族が奪われてしまった少女、アレナ・ホーエンルと向き合って座っていた。
「我々への救援に駆けつけてくださりありがとうございます」
「いえいえ、同盟国として当然のことをしたまでですよ。卑劣な手段で奇襲でもってラーニングラドへと攻撃を仕掛けたルクス連合国を許すことなど出来ません。我々で必ずやルクス連合国を粉砕してみせましょう」
「……えぇ。当然許せるものではありません。必ずや……ッ!」
目の前に座るアレナ卿から濃い殺意が漏れ出し、憎悪に染まった瞳を覗かせる。
「えぇ……それでは、現状の戦況について聞いても?」
「もちろんです」
アレナ卿は前線に置かれている指揮官用のテントの中に置かれているテーブルへと地図を広げる。
「現状はルクス連合国の領内へと少し進んだ先にある川のところで戦線が停滞。膠着状態となっております」
「ふむ」
僕はアレナ卿の言葉に頷く。
「向こうは川の向こうに簡易的ながらも厄介な防衛拠点を用意しており、中々その防衛拠点を突破出来ずに居ます」
「そうか……川。上流はどこかなぁ……氾濫させられば簡単なんだけど」
「……ッ!?」
「ん?どうかした?」
「いえ……なんでもございません」
「そんなに時間をかけても居られないし、サクサク攻略していくよ。氷の上でも戦えそうな兵士っているかな?」
僕は策略も、戦略もなく、ただただゴリ押しでサクッと勝利することに決めた。
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