第19話
今大戦が始まって早いことでもう二か月。
一か月ほど前に今大戦へと参戦してきたドレシア帝国がようやく動き出した頃、僕はようやく世界剣魔学園からフェルジャンヌ王国の方へと戻ってきていた。
「貴方の鎧姿って見慣れないわね」
僕と共にフェルジャンヌ王国の王城へと登城したレースが僕の姿を見て違和感を口にする。
「まぁ、そうだね……僕は普段鎧着ないし。自分でも違和感があるくらい」
僕の鎧姿とか多分激レアだろう。
外交官の戦場は剣の世界ではなくペンの世界だ。
「ラインハルト公爵家が戦にねぇ」
「僕だって驚いているよ……というか、今回の戦争ってば僕だけじゃなくて父上も参戦するらしいよ?凄くない?」
「えっ!?ガイスト様が戦場に赴くの!?」
「そうなんだよ。びっくりだよね。当主と次期当主がダブルで戦場に赴くの多分うちの歴史上初だよ」
「戦後交渉とかどうするの……?万が一があったら……」
「いや、父上にお前に限っては万が一なんてありえないし別に良いだろって言われたよ?」
「……確かにそうかも」
レースが僕の言葉に頷く……ここで頷かれちゃうんだね。
僕とレースが城の一室で雑談していると、僕たちのいる部屋がノックされる。
「入れ」
「失礼します」
僕の一言を聞いて伝令の兵士が部屋の中へと入ってくる。
「こちらがお二人への命令書となります」
「うむ。ご苦労」
僕は伝令が差し出してきた二つの巻物を受け取って頷く。
「もう下がって良いぞ」
「失礼しました」
僕の言葉を聞き、伝令が部屋から退出する。
「ふぃー。僕たちに下された命令は何かなぁ?」
それを確認した僕は視線をレースの方に戻して口を開く。
「……あなたのその一瞬の切り替わりちょっと怖いのだけど」
「慣れろ……ということで命令の確認。こっちがレースの分かな?」
僕は二つあるうちの巻物の一つを手に取ってレースへと渡す。
「ん。ありがと」
今、僕たちの手元にある巻物は国王陛下より承った命令書である。
この巻物が僕たちの手元に来たってことは玉座の間で行われていた貴族への任命式が終わったということだろう。
まだ子供でしかない僕とレースは入れないが、締め出されているけど。
子供はしっかり子ども扱いされるのがこの世界なのである……だったら戦争に行かせるなって話なんだけどね?
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