　両の目を潰しても誤魔化すことが出来なかった僕は温かい陽の下の草原で正座させられていた。

「何故に僕は浮気がバレた男みたいなことになっているのだろうか？別に僕は誰かと付き合っているわけでも、婚約しているわけでもないと思うんだ。例え僕がどこの誰と何をしようと関係ないと思うんだ」

「「は？」」

「はい……すみません」

　僕の論理は何も間違えていないはずなんだ。

　それなのに僕はララティーナ王女殿下とアレティアの圧力を前に無残にも敗北して謝罪の言葉を口にすることしかできない。

「……なんでガイちゃんと抱き合っていたの？」

「将来の妻であるこの私を差しおいて……何故そんなことをするのでしょうか？」

「ん？何勝手に将来の妻とか言っているの？」

「ふふふ。負け犬の遠吠えを聞くのは気持ちいいですね。私が妻であるということはノア様も否定しなかったですよ？」

「はっ。貴方のような凡人にノアが全てを見せるわけがないでしょう？何も出来ないあなたがノアの隣にいることが出来るとでも？」

「私に何が出来るのかを決めるのは貴方ではなくノア様ですよ？」

　……ララティーナ王女殿下に何が出来るのかを決めるのは僕でもアレティアでもなく当人次第と思うんだけどね？

「ノアの隣に立つのは私」

「いいえ。私ですよ？私がノア様に選ばれるのです」

「性格破綻者であるノアが誰か一人を選べるわけがないでしょ？」

「そんなことは百も承知ですよ？ですから、私を選ばざるを得なくするだけです。私は決してノア様を縛ったりはしませんが」

「……え？」

「ん？どうなさいましたか？」

「いや……なんでもないです」

　思わず声を出してしまった僕はララティーナ王女殿下に睨まれ、口を閉じる。

　……うん。そうだね。ララティーナ王女殿下は僕を縛ることはないね？ただ四六時中付きまとっているだけだもんね？

　うん……そうだね。

「……私、帰っていいかな？」

「え？僕を一人にしていく気？」

「……ドンマイ？」

「泣くよ？」

　ララティーナ王女殿下とアレティアが睨み合う中、ガイちゃんは若干呆れながら口を開き、僕は一緒にいてくれるよう懇願を続けた。

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