第53話

「え?ちょ?は?えっ……?」

 

「お、お、お、王女様……」


 今、僕の目の前にいる人たちは一体何なんでしょうか?

 ララティーナ王女殿下に……ゲームの主人公である男の子。それに加えてゲームで見たことのあるヒロインたちがちらほら……。

 いや、そ、そ、そ、そんな馬鹿な……そんな馬鹿な話があるわけなくない?


「んんッ!?」

 

 現実……現実……現実ッ!?

 え?なんでゲームの主人公たち一行がこんなところに来ているの?おかしくない?ありえなくない……?


「ふふふ……ようやく!ようやくノア様を見つけることが出来ました!この日をどれほど待ち望んだことでしょうか」


「え?素直になんで……?なんで僕の位置わかったの?そしてなんでこんなところに来たの?」


「愛する者のそばにいたい。そう願うことの何がおかしいでしょうか?」


「いや……おかしくないけど。でも王女様がこんなところにいていいの……?」


「ラインハルト公爵家の嫡男であるノア様がいるのですから問題ないでしょう?」


「いや……まぁ、うん」

 

 それを言われてしまったら何も言い返せない。

 ぐうの音も出ないというやつである。


「ふふふ……意地悪して申し訳ありません。私だって愚か者じゃございませんから。このまま私も世界剣魔学園の方へと通うなんてことはいたしませんよ」


「あっ、そう?」


「はい……ふふふ。私は夫の仕事の邪魔をするような妻になるつもりはございませんよ?」


「ん……?」

 

 僕はララティーナ王女殿下の言葉に固まる。


「ふふふ。私はわかっていますよ?ノア様の計画的に私との結婚は必須。そうですよね?」


「はふん!?」

 

 僕はララティーナ王女殿下の言葉を聞いて驚愕の声を上げる。


「嘘!?えっ!?待って!?そこまで察しているの!?」

 

 僕の中にある計画。

 それを順当にこなそうとした場合、僕がララティーナ王女殿下と結婚するのが必須。

 僕的にはララティーナ王女殿下との結婚は回避したいのでララティーナ王女殿下と結婚しないですむ方法を模索していたのだけど……ここで僕の計画漏れるの不味くない?


「私はこのまま良い子にマルス学園へと帰るつもりです。ただ、ノア様もたまにはマルス学園の方に来てくださいませんか?あぁ、後。ノア様の中にある計画を私に話してくださいませんか?」


「……」

 

 半ば脅迫のような形で迫られる僕は頬を引き攣らせることしか出来なかった。

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