第40話
竜王リスタ、新入生に敗北。
その一報は世界剣魔学園中を駆け巡り、大きな衝撃をもたらした。
当然生徒たちの中で十傑と呼ばれている序列元十位以内の人たちにも大きな衝撃が走っていた。
「なんだ、あれ?」
「……どう考えても学生のレベルじゃないだろ。いや、俺たちも大概だけどさ」
「いや、大人たちのレベルも超えてね?先生たちでも勝てないだろ、あんなん」
「十傑落ちしたんだけど」
「それもあっさり……マジでひどいわ。奪還出来る気がしないし」
今回一年生に行ったデモンストレーションは毎年行われている新入生が調子に乗らないようにするためのイベントである。
圧倒的な強者の力を感じさせることで新入生の鼻を折り、これからも精進してもらおうという話なのだが……今回はすべての人間の鼻をこれ以上ないまでに叩き折られた。
「何なんあいつら……ヤバいよ。ヤバいよ……意味わからない」
「よしよし。大丈夫だからね?」
リスタは頭を抱え、ぶつぶつと呟き続けている。
目の前で格の違いを見せつけられたリスタの強者としての自負は既に粉々だった。
ちなみに彼女の愛機であるドラゴンはノイの回復魔法を受けてサクッと回復している。
「……これ、私も挑まれるのだろうか?」
「……い、一位としての意地を見せられるのだろうか?俺は」
ノイとアーテの序列は三位と四位。
その上に位置している一位と二位である男女は自分が挑まれるのではないかと頭を抱え、体を震わせていた。
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驚愕しているのは何も生徒だけではない。
先生たちも同様であった。
「……あれが平民じゃと?何の間違いじゃ?」
世界剣魔学園の校長が困惑と共に声を上げる。
「未だに彼ら、彼女らの正体は掴めないのかじゃ?」
「……掴めていませんね。というより何も情報がありません。出身地も両親もわからず、どこかの貴族が変身魔法を使って潜りこんでいるなどと言った情報もなく。本当に何の情報もありません。ただ、フェルジャンヌ王国のラインハルト公爵家の嫡男ノア・ラインハルトとドレシア帝国第一皇女アレティア・フォン・ドレシアが本国の学園を長らく休んでいるそうですが……」
「ありえんじゃろう。あの両国の皇族と公爵家が二人仲良くこの学園に?世界の自転が変わるよりもあり得んじゃろ」
「それもそうですね……」
答えにたどり着きかけた先生たちはそのあまりにも非現実的な答えを切り捨ててしまったのだった。
ちなみにノアはあくまで魔法しか使っておらず、魔力の方は使っていない。
これだけ恐れられてもなおノアはガッツリ縛っての勝利であった。
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