第27話
マルス学園と世界剣魔学園の入学式は同じ日。
そのため、世界剣魔学園の入学式に僕は参加していなかった。
「一日遅れだよ?」
そのことについてアレティア・フォン・ドレシアことアーテに小言を言われていた。
「理由はわかっているでしょ?思いやって、僕のこと。僕は君ほど自国で圧倒的な力を持っていないんだよ」
「私は皇女という立場で皇帝の権力を実質超えた……君にだって出来るはず」
「皇族と貴族。その立場の違いは大きいと思うんだけど……まぁ、僕だってやろうと思えば出来るけどね?」
王国内で国王を超える権利を握れと言われたら……可能か不可能か二者択一で聞かれば可能だ。
やったときの被害が大きいからやらないけど。
「ノイは優しすぎるんだよ……」
そんな僕に対してアーテは僕の偽名であるノイの名を呼んで言葉を漏らす。
「それで?向こうの学園にはどれくらい通うつもりなの?」
「大事なイベントがある日は向こうに行こうかな?って思っているよ」
「ふーん」
僕の言葉を聞いてアーテは少しばかり不安そうに言葉を漏らす。
「まぁ、良いわ」
「過大な配慮に感謝するよ」
「それで?いつになったら学校に行くの?」
フェルジャンヌ王国から世界剣魔学園に来るためにレース小国の方へとやって来ている。
今はアーテが滞在している宿の方に僕も一緒させてもらっている状況である。
「ん?今日はいかないけど?」
「え?」
僕はアーテの言葉に驚愕する。
「今日は初めてくるノイにこの街を案内してあげようかと」
「……別にここでドンパチするつもりはないのだけど」
「ふふふ。私はあるかもよ?とりあえず私がノイと街に行きたいの」
「それを言われたら僕は断れなくない?二重の意味でさ。可愛い女の子のご希望だ。是非、一緒させてもらうよ」
「紳士的で良いわね。好感が持てるわ。それじゃあ、行きましょうか」
「うん。そうしようか」
僕は座っていた椅子から立ち上がり、アーテと共にレーア小国の街へと繰り出したのだった。
……レーア小国ってば高い山の上に都市があるから寒いんだよなぁ。魔法を使って暖取らないと。
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