第7話 敵対

前書き


前回のあらすじ


絡まれる主人公



本文



 今日は雨か...足がつかないし、復讐日和だな。昨日は、ゆっくり出来たし体力は万全。それにしても、ベッドが2つあるのに起きたら同じベッドにエレノアさんが寝てるんだ?寝る時は、確かに別々のベッドで寝たはずなのに。


 「おはようございます。エルさん?」


 「あぁ、おはようございます。ボーッとしていた。今日、復讐日和。行動に移すぞ。」


 柔らかい笑みを浮かべる。とても綺麗な顔をしているよな。


 「はい。仰せのままに...して、何処から始末しますか?」


 「騎士団と繋がりがある者を見つける。ゴロツキや闇商人、いくらでもアテはある。そういえば、これだけ大掛かりな犯行なのに反乱が起きていないのは不思議だな。」


 「レジスタンスならあります。ただ、エルフ、獣人の純血の集まりしかありません。...ハーフは、同族ですら忌み嫌われるのです。」


 「ふーん。ハーフとかどうでもいいと思うんだけど。だが、レジスタンスの奴を捕まえて聞き出すのもありだな。」


 俺たちは朝食を食べ次第、宿から出る。レインコートを着て街の中をまったり歩く。雨の中歩く人間、獣人、エルフが多くいる大通り。


 (エルフ狩りをしている関係で外に居ると思っていなかった。日中は危険がないのか?それともアホなのか?)


 「騎士の姿が見えない。エレノアさん、怪しい奴いた?」


 頭を横に振り否定するエレノアさん。そう簡単に見つかる訳が無いか。


 (なんて言っている矢先に明らかに周りを警戒している者がいるな。意外と簡単に見つかったな。)


 俺は、エレノアさんとアイコンタクトで怪しい動きをしている者を伝える。


 「エルさん、どうしますか?フードを被っており種族が分かりません。」


 「うーん...見張るのは雨の中難しいな。追跡出来る道具があればいいんだが。あっ、こっちに来た。」


 俺はとっさにエレノアさんの腕を絡んで恋人みたく見えるようにする。


 「キャッ...大胆ですね、エルさん!ふふっ。」


 「恋人のフリだからな。今通り過ぎた奴の後を追う。路地に入ったら襲う。」


 「はい。」


 小一時間尾行した結果、酒場に入っていったのが最後、怪しい奴は昼間から酒を飲んで時間が過ぎていく。雨で身体が冷えてきた。このままじゃ風邪を引く。


 「エルさん、酒場に入らないのですか?」


 「酒を飲まないし、食事もしない。怪しまれること間違いない。さっさと...うん?今、すれ違ったエルフに何か渡していなかったか?」


 尾行していた奴とすれ違ったエルフの男に何かを渡したのを見たが、見間違えたかもしれない。エレノアさんを見ると、俺と同じものを見たと頷く。


 「やっと動き出したか。全く...早く行動してくれればいいものを。監視されているかもしれないとの行動か?」


 「恐らくそうだと思います。エルフもバカではありません。監視があるのを前提に行動しているのでしょう。」


 尾行していた奴とは別のエルフ(何か渡されたエルフ)が酒場から出てきた。俺たちも1箇所に留まっていると怪しまれる。


 (いや、怪しまれた方がいいのか?)


 酒場から出てすぐ走り去っていくエルフ。怪しい...追いかけるしか選択肢がないか。


 「エレノアさん、追跡お願い。俺は、あの酒場にいる奴を引きずりだしてくる。」


 「かしこまりました。」


 エレノアさんと別れ、俺は酒場に入る。うっわ...酒臭い。鼻がもげる。異世界でも日本でも酔っ払いは居るもんなんだな。だけど、今はちょうどいい。俺の足を引っ掛けようとした酔っ払いの男の足を踏みつける。


 「いてぇーなぁ!ゲフッ。良い服着てんじゃねーか?金持ってんだろ?慰謝料として俺の酒奢ってくれよ!」


 俺は周りを見渡すが、ニヤニヤして俺たちの動向を楽しんでいる。フードを被った怪しい奴もこちらを見ている。俺もフードを被っているけど...万力の指輪の効果を確かめるついでに絡んできた男の首を掴み持ち上げる。


 「飲みすぎではないか?俺からの慰謝料は痛みを与えることだっ!」


 持ち上げた男をフードを被った怪しい奴に向かって投げ、激突する。さすが酒場だ。こんなことしても盛り上がるだけ。


 「気分が悪い帰る。」


 俺は酒場から出て、エレノアさんの友好の指輪の反応を追って歩き出す。先程の奴は、フードが取れてエルフだと分かった。怒って俺を追いかけてくれることを祈っているんだが...


 「おい、待てよ。この私を巻き込んでおきながら謝らず逃げるのか?」


 (キターーーーッ!アホが釣れました!!)


 「エルフ?さっきの酒場にいたか?」


 「ああ、酒を飲んでいた。カウンターでな。そんなことより、謝罪をしろ!」


 「謝らねーよ、ばーか。俺は悪くない。絡んで来たのは、俺が投げ飛ばした男だ。」


 怒りで顔を真っ赤にしているエルフの男。


 (さて、ここからどうするか...なんも考えてねーや。)



後書き


次回 レジスタンス

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る