第6話 街へ
前書き
前回のあらすじ
全身、
本文
日が暮れる頃には街の外壁の門に到着。門を通るには1人銅貨10枚払わないといけない。俺とエレノアさんで20枚の銅貨。
この世界の貨幣システムは、銅貨、銀貨、金貨、白銀貨、白金貨。銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨1000枚で金貨1枚、金貨1000枚で白銀貨1枚、白銀貨1000枚で白金貨1枚。あとは、あまり出回っていないと言われる虹金貨。これは、白金貨1000枚で虹金貨1枚らしい。
「次の者!」
「ほーい。俺と連れで銅貨20枚っす。」
「確かに受け取った。ようこそ、ガスールへ。」
門兵との最低限の会話したのち門をくぐる。もう夜だ。それでも、
「人が多いな...」
「そう、ですね...」
横目でエレノアさんを見るが今にも動き出そうとしているのが分かる。まだ情報が足りない。いや、情報なんて必要ないが今日は休みたい。
「ふぅー。落ち着け、エレノアさん。今日は、身体を休めて明日に備える。無闇な行動は控えて。」
「ッ!申し訳ありません。ここにいる人間たちは、私たちを助けてくれませんでした。それを見ていると、どうしても殺意が湧いてしまい...」
「変装といっても顔の形が大きく変わるわけではない。フードを被って顔の認識を阻害しようか。」
念の為、俺もフードを被り、夜の街を歩く。
(えーと、がるーす?がるーる?なんて名前の街か忘れちまった。確か、ガドル王国が支配している街の1つだったか...エレノアさんの話、かなり根が深い。恐らく、騎士団が主導してハーフエルフ狩りをしているのであればガドル王国が1番怪しいな。)
「そういえば、俺って会話は出来るけど文字が全く読めないんだっけ?エレノアさん、この看板の文字、なんて読むの?」
「宿ですね。っと言っても酒屋と併設しているようですけど。」
ガラの悪い連中がチラホラ見える。店内が見えるドアとか中世かよ。
「ここは、ダメだな。他の宿にしよう。」
酒臭い。あと、うるさい。宿に相応しくないと思うんだが...よく成り立っている。日本では有り得ない光景だ。
「あっ...」
すれ違った大男と肩がぶつかり体勢が崩れる。それを見て俺を支えてくれるエレノアさん。首を捻り、音を鳴らした大男が俺の胸ぐらを掴む。
「おいっ!いてぇ〜なぁ。アァん?」
「離せよ。アホ。今なら無事に帰してやる。」
「アァん?なんだぁ!?俺様に喧嘩売ってんのか?」
大男の背後にエレノアさんが移動して首に短剣を当てる。皮1枚切れたのか血が切り口から流れる。
「私の主を離せ、ゴミ。このまま死にたいのであれば一向に構わないが...」
(oh......エレノアさんの目が据わって怖いっす。あと絶対零度の声で俺まで震えるんだが。)
「お、覚えていろっ!」
胸ぐらを離し、首を抑え走り去っていく大男。よっぽど怖かったんだな。それに、あの大男...
「死んだな。」
「はい、短剣に毒を塗っておきました。ふふふ。遅効性の毒ですが、明日には目を覚まさない人間が1人出来上がりますね。」
「そうだな。助けてくれてありがとう。おかげで怪我せず済んだよ。駄賃も貰えたし大男も不幸よな。」
胸ぐらを掴まれた際、目視出来た腰にぶら下がっていた財布を召喚にて確保しておいた。想像力だけでなく見た物も召喚出来るという実験も成功したし、俺は満足だ。
アクシデントがあったが、無事に宿を見つけ宿泊する。商人、傭兵、大男から奪った金がそれなりある。そこそこ綺麗な宿を選んだおかげで銀貨30枚、2人で銀貨60枚かかった。
日本のビジネスホテルより大きい部屋。これならゆっくり出来る。
「風呂がないのがキツいね。大公衆の銭湯もしくは部屋で身体を拭くだけとか...エレノアさん、どうする?」
「エルさん以外に肌を晒したくはありません。お湯で身体を拭きます。良ければエルさんの身体を私が洗いましょうか?」
「
「お言葉に甘えてお先に失礼します。」
空気が読めるエレノアさんは、テキパキと行動する。俺は、ベッドに横になり食事を召喚する。この世界に来てから、この世界の料理を食べていない。この世界の水すら飲んでいない。はっきり言って信用していないからだ。サービスで神に長寿になったが風邪を引かないとは限らない。
俺の食事が終わる頃には風呂から上がったエレノアさんにも食事を提供し、交代で風呂に入る。
「エレノアさーん、テーブルの上に置いてある食事を済ませてー。口に合うか分からないけど。」
メロンパン、サラダ、コーンスープ、プリン。多分、食べられるはず。日本の食事については全幅の信頼をしている。
「うーん!美味しいですっ!」
(それはよかった。さすが日本だな!)
後書き
次回 敵対
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