第3話 ショタ先輩発見!

「クッソ!天使の奴に騙された!」

部屋で叫んだ私に、メイドのアンナが顔面蒼白にさせて

「大変だわ!フレイア様の気がふれたわ!」

と叫んで、部屋を飛び出して行った。

フレイアとして転生した私は、品行方正なまさに深窓の令嬢として育った。

が!5歳になって前世の記憶が戻った今、品行方正なんてやってられないわよ!

とにかく、魔法学園の先輩を探し出さないと!と意気込んでいると

「フレイア!気が触れたと聞いたが、大丈夫か?」

フラソの攻略対象の一人で、フレイアの兄であるレイモンドが入って来た。

レイモンドは、シスコンだけど文武両道のスーパーマン。

サラサラの長い金髪を後ろに束ね、見目麗しい青年になるのよね。

今は、まだ髪の毛は肩までの長さで、愛らしいレイモンドにキュンキュンしていると、レイモンドの後ろに控えめに立っている人物が目に入った。

サラサラの黒髪に、少し垂れ下がった優しい目。まだメガネは掛けていないけど、全身から漂う優しいオーラは、間違い無く魔法学園の先輩の幼少期!!

思わず口元に手を当て、食い入るように見つめた。

漆黒だと思っていた瞳は、光に当たると青みがかっているので濃紺だった事を知る。

(天使の言うことを聞いて良かった~!)

心の中で狂喜乱舞していると

「フレイア!突然、変な踊りを踊り出したりしてどうしたのだ?」

と、レイモンド兄様に止められてしまった。

どうやら嬉しさのあまり、本当に狂喜乱舞してしまったらしい。

そんな私を心配そうに見つめる魔法学園の先輩に近付くと、彼のまだ小さな両手を握り締め

「好きです。お嫁さんにして下さい」

と、思わず心の声を声に出して言ってしまっていた。

そんな私に、魔法学園の先輩は目を見開いて驚いた顔をしている。

(あぁ……ショタ先輩の真ん丸な目が、可愛い過ぎる!)

思わずギュッと抱き締めたその時だった。

『バシッ』と鈍い音が頭で鳴り、鈍い痛みと共に首根っこを掴まれて引き剥がされると

「お前は馬鹿か!」

と、レイモンド兄様が叫んだ。

「兄様、暴力反対ですわ!」

叫んだ私に、レイモンド兄様は本気で怒った顔をすると

「お前は、どうしてそうやってルイスをからかって虐めるんだ!」

と叫んだのだ。

「からかうなんて、誤解ですわ!」

慌てて否定する私に

「はぁ?お前、今まで『公爵家の三男坊なんて、平民に近い貴族ですわ』って、ルイスをバカにしていただろうが!」

レイモンド兄様はそう答えたのだ。

私がレイモンド兄様の言葉に固まり

「え?誰が、誰になんですって?」

と呟くと

「だから!フレイアが、ルイスをいつも公爵家の三男坊だからとバカにしていただろう!」

そう言って、魔法学園の先輩を指さしたのだ。

「ルイス……ルイスというお名前でしたのね!なんて素敵なお名前でしょう」

レイモンド兄様の言葉を完全スルーして、私は魔法学園のショタ先輩……もとい、ルイス様を見つめた。

するとルイス様は

「僕みたいな者が、フレイア様の部屋に来たのがいけなかったのです」

と言って、私の頭をバカスカと叩くレイモンド兄様の手を止めた。

(キャー!ショタでも魔法学園の先輩、優しい!!)

可愛らしい子供声のルイス様に、私のハートは射抜かれっ放しだった。

私は狂喜乱舞している気持ちを必死に抑え

「ルイス様でしたら、いくらでも私の部屋にいらして下さって良いのですよ。むしろ、大歓迎ですわ」

再びショタ先輩……、じゃなかった。

ルイス様の手を握ろうとすると、レイモンド兄様が私の首根っこを掴んで引き離してしまう。

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