第4話
4話
◉違う世界
「…という経緯でおれは彼女ができたので次回のマカオ旅行はパス」と桐谷ススムは悪友の北山ギンジ(通称ジンギ)に話した。
彼女も連れて行けばいいじゃないかと思う人もいそうだけど、マカオってそういうノリで行く所じゃないんだよね。少なくともおれには彼女連れで行く所には思えなかった。それはつまり風俗に自分の彼女と一緒に行くのと同じでわけがわからない状況になるのだ。
「なんだよそれ、そんなことあるのか。おれも今度から床屋のオッチャンに切ってもらうのやめて美容室行ってみようかな」
「ジンギさん、なんかお気に入りの子いなかったっけ?その子はいいのかよ」
「あー、田村さんのこと?いいもなにも付き合ってねえし。向こうからしたらオレはただのコンビニの客でしかねえよ。田村ユウコは一方的にオレが心の癒しにしてるだけ。それはそれでいいんよ。しかも最近新宿店に居なくなっちゃったっぽいし。店長研修で来てるって言ってたから、もうどっか違う店舗の店長になっちまったんだろ」
「そっか、そりゃ残念だな」
「彼女の夢が叶うのが一番だよ。今頃は立派な店長になって頑張ってるんだろ。それでいいよ、オレみたいなギャンブラーとは違う世界の女だ。それより次のレース鉄板で①-④だからススムも10000くらい乗っかっとけば?」
「うん?ジンギさんがそう言うなら5000だけ買っといてもらうか」
「5000ねOK」
「違う世界ねえ…」
自分自身もギャンブラーである桐谷はそのことを気にした。やはり住む世界が違う女だろうか。好きになってはいけない女と付き合ってやしないか。そう思って胸を痛めるのだった。
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