第3話

3話

◉理想の男性


「桐谷さんは何歳なんですか?」

「26」

「若いのねえ。羨ましいわ」

「ナガネオさんには年齢差を感じないけどね。むしろ歳下に見えますよ」

「歳下は言い過ぎよお。本当にお世辞が上手ねえ」そう言いながらナガネオさんは嬉しそうにニコニコしていた。

「どんな髪型にしよーかなぁー。私好みにしていいんでしょう?アナタ二枚目だから髪型次第では惚れちゃうかも」

「そりゃあいいや。ぜひともナガネオさんが惚れるくらいカッコいい髪型にしてよ」

「いいの〜?イケメンだし彼女いるんじゃないの?」

「いるわけないだろ。この髪型だよ?」髪は放置していた期間が長すぎてだいぶみっともなく伸びていた。こんな髪型で彼女がいるわけがない。

「そっか」

「そっかってのも失礼だな」と言って2人で笑った。かっこよく切ってもらおう。


ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー




「はい!できあがりました!」

「おーー、ありがとうございます」

「クサ○ギキョウをイメージしたんだけど」

「あー、言われてみれば」

 するとナガネオさんは「ちょっと待ってて」と言って何かを書いた。メモ書きをしている。なんだろう。

 そっと見えないようにおれにそのメモ書きを渡してきた。

(これ、私の連絡先…。あなたがその気にさせたんだから責任とってデートしてよね)

(えっ、ほんとにいいの?)

(だって、私好みの理想の男性が誕生しちゃったんだもん❤︎)


 こんなことってあるんだ。すごいな。


 おれはその日から長根尾舞と付き合うことになった。

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