友人

「お前、人気すごいよな。」

本当だ。彼へのラブレターが何故かこっちに回ってくるのだが渡そうにも多すぎるのだ。一日じゃ回せない。

「別に……俺はただ一人あいつを愛してるし。」

彼の返答はとてもかっこいい。真似したいほどだが彼以外がやれば逮捕されるぐらいだろう。俺は確実に死刑だ。


俺の名前は成田なりだまさ

望の幼馴染であり親友。親友であることには欠点もありラブレターがなぜか俺を挟んでやってくる。俺は郵便か。

最近はよく恋愛相談をされるが俺は恋愛経験もなく、なんなら女子と話すことは「ラブレター運送時」ぐらいでしかない。

彼とはキャンプも共通の趣味であり、ラブレターはなぜか燃料に使われている。もちろん中身は読んでいないに等しい。


園の頃、彼は誰かに告白していた。そんな彼は珍しく自分のことをあまり考えない女子に告白をした。


「俺って嫌われてんのかな……」

どこからその気持ちが現れる。女子に囲まれてて嫌われてるも何も……


このとき、モノクロームという考え方が頭によぎる。

例えば、黒木さんから見て、全てが「モノクローム」に見えるように、彼から見て黒木さん以外が「モノクローム」に見えるのだろう。


試しに黒木さんに話しかけてみようと思い、教室で話しかけてみた。

「えっと、黒木さん?」


「えっと、黒木さん?」

要件は何なのだろうか。

私は本を閉じる。

もしや佐々木さんと二人で会話していたのがバレたのではないか?

とりあえず、ここで頷き、次の言動を見てみることにした。

「質問なんだけど、望って好きだったりする?」

想定していた通りの質問ではあるが、答えが見当たらない。

「答えれないんだったらいいんだけどさ。」

私は「答えれない。」と答えた。彼は帰っていった。

……何ページを読んでいたっけ。私は栞を挟んでいない過去の私を呪った。

それからということ、自分の脳内に度々、「佐々木望」という一人の人間の特になんともない姿が映し出された。

私は知らず識らずの間に好意を抱いているのかもしれない。

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