感情

「声色や表情の読み取り」

小学、もしくは中学の道徳で習うだろう。

そんなこと僕の周りの女子は習っているのかどうかわからない。

「ねぇ、これから中庭で話さない?」

「あははっ。」

女子は笑顔だが僕の表情を確かめていないようだ。確実に愛想笑いだと分かるような表情、何なら声色にしていた。

彼女の方を見る。まるで小説じぶんのへやに入っているようだ。

周りの音。しかも大きい音ですら何の反応なく読み続けていた。

風が吹いて髪が揺れている。横顔が一瞬ひととき見えた。いつ見ても美しいと感じる。

間髪入れずに耳に入ってくるやじの声。鬱陶うるさい。

ただただ窓際で太陽あこがれを見て過ごしたい。

自分は自分の幸せが欲しいんだ。他人に束縛しばられたくないんだ。


この群衆は僕のことを何だと思っているのだろう。

生物。装飾品。所有物。

相手ひとの感情を読み取れば考え方は変わるのだろう。

顔だけで陽キャラなんかになりたくない。陰キャラのままでいいんだ。彼女と話し合えるだけでいいんだ。


やっぱり彼は囲まれている。

男は話しづらい状況だ。彼も同じように他の男とは話しづらい状況だ。

彼はプレッシャーが普通の人間の1.3,4倍はかかってるのではないだろうか。そんな彼がプレッシャーにかかっても生きていけるのはどうしてだろう。私には経験がないのである。




結局、彼の好かれるところは内面外見共にある。

外見はそのまま。内面はお人好しなところ。ともに老若男女オールマイティから好かれるのである。

皆さんの周りにはそんな人がいるだろうか。完璧な人が。

私にとって彼は主人公であり私はサブである。それがこの世界の定めであり、私の生き方である。

私の感情は誰かに操作されている。きっと彼の思考の中で。


みなさんは「誰かに操作されている」みたいな設定のライトノベル。もしくは文芸書を読んだことがあるだろうか。

私の印象に残っているものは、さかずきともえさんの「思い描くことの罪」全二巻である。

「主人公の考えることが世界と繋がっているということの気づきとその恐怖、そして自己犠牲で終わる世界の全て。」

というテーマだ。

私はそんな世界ものがあるなら夢である。と言いたいがその解答をすると、今この現実で起きていることから逃避していることと何ら変わりはないのである。


それを知ったとて分かるのは自分の思考が無力であること。ただ一つである。

この広い世界に小さい思考。

世界を1とした時、ずっと私の思考は限りなく小さい値だと思っていた。

0だったのだ。人に作られそれが私の思考となる。

これは私の思っている、考えていることであり彼の思っている、考えていることなのである。






私はある言葉を借りたい。

「我思う故に我あり。」

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