地雷

桜が散っている。春だ。

入園式のこと、同じ学級のみんなは彼に夢中だった。他人よりも何事を好かない私は何も思わずにただただしりとりをしていた。

私は彼と話すことがごく稀だがあった。私はその度に周りの女子からまるでごみを見るような目で見られていた。特に親しいわけでもなかったが会話をする時だけ楽しかった。


蝉の鳴き声が聞こえる。夏だ。

園の外で彼と話をしていた。

「……君、名前は?」

「井上華。」

あの時から関係性を作っておけば良かったのに私は冷酷だった。まぁ、他人を好かない性格だから仕方ないが。

その後のことを考える。地雷を産んでしまっていたことを思い出した。


公園で彼と話していたことを思い出す。

「……君のことが好きだ。」

特に何でもないことを彼と話していたことを思い出すが、彼がいきなり恋愛の話をし出した。何も好かない性格だった私はこう返していた。

「十年後、覚えてたら。」

まるで人生二週目のような返しだ。


「ねぇ。思い出した?」

「はい。」

もう十年経ってしまったのだ。当時は、「もう十年後には忘れているから。」とあんな返しをしたがまさか覚えているとは。

「あれは口約束だし、別に……」

「じゃあなんでさっきの口約束を信じてくれたの?」

その通りだ。口約束の信頼などないに等しい。ついて言ったのがバカなんだ。そう私が、

じゃあどうして私はついてきたのだろうか。

私が彼のことを信頼していたから? 自分のことを捨てようとしたから? それとも仮面が彼であるということをもともと気づいていたから?




彼女に告白したことを今でもすぐに思い出せる。まるで昨日のことのように。

十年間覚えてておいてよかったのだろうか。相手も同じことを考えているかもしれないが、口約束カミナシは信用にならない。

じゃあなんで彼女はついてきてくれたのだろう。

僕は彼女のことが現在いまも、過去むかしも、そして未来あとも、好きだ。きっと、

僕だって話しかけたかった。

「何読んでるの?」「どんな話が好きなの?」

なんでいつも女子に囲まれているんだろう。

彼女が小声で呟いた。

装飾品アクセサリー。」

何のことを呟いたのだろうか。聞くべきか、聞かないべきか。そんなことは次の台詞セリフで答えは一意に決まる。

「別に何でもないよ。」


日本語というのは美しいのではないだろうか。これは日本人だからと言う可能性もあるが、質問の重要性や抽象具体。全てがその人の表情や言葉でわかる。

それが日本語の美しいところだと自分は考える。


僕の周りの女子はそんな美しい言語を使いきれてないのだ。

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