第21話 リスナー【瀬戸真里亞】
無理だった。
キセキカナウが作った視聴者参加型のハリカールームに入れなかった。
悔しい。
配信前からスタンバイをしていたが、一度もルームには入れなかった。
そして配信が終わり、私はスロッチの電源を落とす。
キセキカナウは四皇の1人で人気のあるVtuber。
今日の同接も3万を越えていた。
この同接では運が悪かった……とは少し言い
なぜなら最後はどう見てもチートプレイヤー集団だった。そしてその前も。
私はスマホでネットの掲示板で少し調べ始めた。
490:名無しのリスナー
「オルタのイニシャルカーブ、すごかったわ」
491:名無しのリスナー
「>>490 ミスしてたやついたよな」
492:名無しのリスナー
「>>491 そいつプロらしいぞ」
493:名無しのリスナー
「入れなかった」
494:名無しのリスナー
「ハリオカートメーカーだってさ。いつ発売だろ?」
495:名無しのリスナー
「>>494 おら、わくわくしてきたぜ」
496:名無しのリスナー
「最後の方、やばかったな。チート集団じゃねえかよ。怖え!」
497:名無しのリスナー
「でも、オルタとキセキは1勝した。あのインビジブルコスモスコースは歴史的1勝! チートしても勝てねえとか『ざまあ』だよ」
498:名無しのリスナー
「あれってまじでチート? やばない?」
499:名無しのリスナー
「入れなかった」
500:名無しのリスナー
「>>499 人多かったもんな」
掲示板でもやはり先のチートプレイヤーについてあれこれと書き込まれていた。
やはり皆もあれについては思うことがあるのだろう。
1人2人ならまだしもオルタとキセキカナウ以外チートという構図だから。しかもレートを下げてでも参加してきた。
レートを下げるには負けるしかない。
では、彼らは負けてレートを下げたのかというとそれは違う。レート1万が3千へと下げるには相当時間がかかる。あんな短時間では無理。
あれは絶対チート行為でレートをいじったのだろう。それはもう異常としか言えない。そうまでして四皇と走りたかったのかな?
それとも……。
501:名無しのリスナー
「あのチート集団って、海外勢か?」
502:名無しのリスナー
「>>501 ソースは?」
503:名無しのリスナー
「>>502 馬鹿なのか? 国旗見ろよ」
504:名無しのリスナー
「>>503 国旗なんてどうにでもなるだろ?」
505:名無しのリスナー
「ユーザー名も怪しくね?」
506:名無しのリスナー
「今はどうしてキセキカナウの配信にチートプレイヤーが現れたのか? それを語るべきだ」
507:名無しのリスナー
「今までこんなことなかったのにな」
508:名無しのリスナー
「オルタとコラボしたから?」
509:名無しのリスナー
「>>508 は? オルタが悪いわけ?」
510:名無しのリスナー
「>>509 オルタがチートだって
511:名無しのリスナー
「>>510 どこのバカが喚いているんだよ?」
512:名無しのリスナー
「星空みはりが来たときはびっくりした。あれって本人なんだろ?」
513:名無しのリスナー
「チートプレイヤーがいなければ私もルームに入れたかな?」
514:名無しのリスナー
「>>511 イニシャルカーブをミスったプロ」
515:名無しのリスナー
「今のところイニシャルカーブ出来るのってオルタくらいだろ? しかも追尾ロケットをドリフトで回避するんだろ? やべえわ」
516:名無しのリスナー
「追尾はたまに俺でも可能。イニシャルカーブは無理」
517:名無しのリスナー
「前にイニシャルカーブしてた子いなかった? 10年くらい前だっけ? 大会で見たような?」
518:名無しのリスナー
「プロのひがみウゼえ」
519:名無しのリスナー
「>>517 10年前に大会なんてねえよ」
520:名無しのリスナー
「>>519 全国決勝トーナメントが廃止になったのがあったが?」
521:名無しのリスナー
「なんか海外オタがオルタのプレイがチートかどうか検証しているらしいぞ?」
522:名無しのリスナー
「>>519 Wee時代にあったような」
523:名無しのリスナー
「ハリオカートメーカーの体験版っていつ?」
524:名無しのリスナー
「またコラボしてほしいな」
私は掲示板を閉じて、次に動画アプリを起動させた。
するとトップのおすすめに先程のキセキとオルタの切り抜き動画があった。
「うわっ、もう切り抜きが投稿されている」
さすがは四皇。
切り抜きはボルケーノコースのイニシャルカーブだった。
すぐに作られたためかテロップがなく、本当にその瞬間を切り抜いたものだった。
時間にして1分程度。
オルタ視点でのループ橋に入ってイニシャルカーブをするところ、次にキセキ視点でのイニシャルカーブ中のオルタに抜かれる瞬間、そしてまたオルタ視点に戻って、オルタがループ橋を曲がり切って直線に入る瞬間が切り抜かれていた。
「再生回数やばっ!」
なんとこの切り抜き動画の再生回数が10万を越えていた。
まだアップされて数分のはず。
それだけ多くの人がキセキとオルタを気にしているとは。どこか自分のことのように喜ばしいことだった。
私はコメント欄を見てみた。
しかし、そこには私の予想もしていないコメントが溢れていた。
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