第18話 ハリカーコラボ⑤
「どうします?」
『……視聴者参加はこれで最後にしよう。そのあとは普通にハリカーしよっか』
「そうするしかありませんね」
コメント欄には残念だというコメントが溢れていた。中にはチートプレイヤーに対する怒りもある。
皆、楽しみにしていたのにこのような形で終わるのは悲しい。
そして私達は最後に視聴者参加のレースをした。
チートプレイヤー達が選んだコースはクラッシュマウンテンコース。インビジブルコスモスコースと同じく最難関コースだった。
◯
「つ、疲れた」
対戦は先のレート1万のプレイヤー達と同じ。もしかしたら同じプレイヤーなのかもしれない。
しかも1位以外は私達を徹底マーク。抜かす
『こいつら絶対チートだよ。レート1万の奴らが違法操作してレート3千にまで下げたんだよ』
「なんでそんなやばい奴らが?」
世の中にはチートプレイをするゲーマーがいる。
だがそれはプロゲーマーの配信に多いと聞く。
それがどうしてプロゲーマーでもないVtuberに?
『有名税というやつかな? 自分で言うのもなんだけど、私って有名だからさ。時々、プロゲーマーとかが来るのよね』
キセキカナウは四皇の1人で皆が注目するVtuber。
「でも今回はチートプレイヤーでしょ? こういうのもあるんですか?」
『うーん? 時々チートプレイヤーに遭遇するけど今日のようなのは初めてだね』
「びっくりですよね」
『さて、普通に走ろっか』
「はい」
募集を辞めて私達以外はCPUに。
コースを選択して、ルームに戻る。
2人しかいないのでコースが選ばれる確率は50%。
『私が選んだコースが当たった』
キセキが選んだコースが選ばれた。
コースはフォレストコースで、文字通り森の中を走るコース。
レース画面に変わり、シグナルが点灯する。
『オルタは森ガールって知ってる?』
「森ガールですか? 知ってますよ。子供の頃、流行りましたよね。あっ! 喋ってたらロケットスタートし忘れた」
『アハッ、おっ先ー』
「卑怯ですよ」
私は急いで追いかける。
『違うよ。森を見てたら森ガールを思い出してさ。あれって、今でもいるのかな?』
「いるのではありませんか? 森ガールはなくてもゆるふわ系とか見ますし」
言葉自体は薄まっているけど、似たような服装は今でも見る。
もしくは森ガールを意識して装っても、周りには違うよと言ってる子もいるのではないかな?
『大学とかだとやっぱ可愛い服を着た子とかいっぱいいるの?』
「いますよ。可愛い系とかモデル系、清楚系とか」
『ほお! ちなみにオタク系は?』
「オタク系? オタク系? んん? オタク系って、どんな服装ですか?」
『FFかな?』
「FF?」
ゲームのタイトルか?
『ファストフッションブランドのこと』
「ああ! でも、ファストファッションとか普通にいますよ。私だって着ますし」
特に一人暮らししている貧乏大学生はよく着ている。
『それじゃあ……親が買った服みたいな。胸のとこにロゴとか英語がプリントアウトしているシャツ。そういうのを着ている人』
「なるほど。そういうのは女子では少ないですね。男子は多いですけど」
私の知る限り、プリントアウト系は男子によく見られる。
『オタクっぽくない?』
「うーん? ダンス部の子とか普通に着てますけど。オタクではないですね」
アイテムで追尾ロケットを手に入れて、前方のCPUを攻撃。
『じゃあ今のオタクはどんな服着ているの?』
「キセキさんはオタクファッションに興味がおありで?」
『違うよ。私もオタクだからさ。今時の若いオタクはどんな服装なのかなっと思って』
「そもそも服装というか髪型とか身だしなみですかね? というか秋葉原に行けばいいのでは?」
秋葉原はオタクの聖地で毎日大勢のオタクが来訪している。その中で若いオタクを見ればファッションがわかるはず。
『私は池袋系だから』
「ヤンキーですか?」
『なんでよ! ああっ! 突っ込んだらミスった』
私の前でキセキはコースアウトした。その隙に私はキセキを抜かす。
「最近、池袋で活躍するヤンキーの漫画を読んだもので」
『池袋にもオタク向けのお店があるのよ』
「へえ」
『行ったことない? 乙女ロードとか』
「ないです。何です? その乙女ロードとは? 少女漫画やアニメ関連のお店が多いとこですか?」
『……確かペーメンなら桜町メテオとかが乙女ロードに詳しいと思うから聞いてごらん』
「え? はい、そうしてみます。あれ? それなら乙女ロードに行っているなら服装とかわかるのでは?」
というか、それなら私にわざわざ聞くことでもなかったはず。
『乙女ロード行きの服装と普段着は別なのよ。だから普段はどんな服装なのかなって』
「へえ、そうなんですか。いっそのこと、すっぴんで英語がプリントアウトしているシャツとデニムでいいんではないですか?」
『オルタ、辛辣!』
「というかメイクしてきちんとした服でいいじゃないですか? 別に見た目がオタクである必要あります?」
『それが難しいのよね』
「あっ! ゴール!」
話しているうちに1位ゴールしていた。
『ああっ! やられたー!』
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