第5話 南極基地危機一髪【1回戦②】

 管制室に着くとクエスさんとゆるるさんがいた。


 私がタスク前に近づくとゆるるさんはその場を譲り、管制室から出て行った。そしてクルー部屋方面へ向かった。


 今の動き、怪しい。

 タスクが終わったわけではないよね?


 とりあえずタスクをする。


 タスクのミニゲームは赤と青の2つの波長があり、青の波長を赤の波長に合わせるというもの。

 右のノズルで高さを左のノズルで幅を調整する。


 簡単なもので、すぐに終わった。

 ということは先のゆるるさんの動きは終わったからのもの?

 うーん? どっちだろう?


 私がタスクを終わらせるのとほぼ同時にクエスさんがタスクを終わらせた。

 その後、行き先が同じなのか2人で行動した。


 次は風呂場。タスクのミニゲームはシャンプーの詰め替え作業。空のボトルにシャンプーを入れるだけ。

 風呂場にはもう一つのタスクもあり、それもやっておく。

 もう一つはバスタブを洗うもの。


 それが終わって、下のボイラー室に向かう。道中、ユキノさんと合流。


 ボイラー室にあるタスクは振り切ったメーターを下げるものと、水を注入するものの二つ。


 二つのタスクを終了して次にボイラー室を出た時にクエスさんと別れ、ユキノさんと共にキッチンに向かう。


 詩子さんとはすれ違いにキッチンに入った。

 私とユキノさんで同じタスクに挑戦していた時、緊急ブザーが鳴った。


 そしてキャラアイコン画面に移り、卍とゆるるさんのキャラアイコンに赤いバッテンが付いている。


【クエス】:「うわー! 2人もやられている!」

【詩子】:「これは吊らないと駄目ですよ!」

【ユキノ】:「残り6人ですから、またダブルキルされると負けですよ」


 6人の内、人狼が人狼を殺すことは出来ないから人狼は2人。クルーは4人。次でダブルキルされると人狼とクルーの数が同じになり、人狼の勝ちとなる。

 そのためここで人狼を吊らないといけない。


 けれど間違えると人狼が有利となってしまう。


【クエス】:「まず誰が誰の死体を見つけたのさ?」

【コロン】:「はい! 私がゆるる先輩の死体を会議室で見つけました」

【詩子】:「どうして会議室に?」

【コロン】:「えっと、私は左下の食料庫に行ってから上へと進んで、娯楽室、格納庫に。そして会議室に入ったら、ゆるる先輩の死体があったんです」

【詩子】:「ずっと1人?」

【コロン】:「……はい。誰とも会ってません」

【詩子】:「左側が怪しいのかな?」


 左側ということは管制室、風呂場、クルー部屋、ボイラー室で私が通ったところだ。


【クエス】:「僕は左側にいたよ。最初に管制室でゆるると会ったけど、すぐに別れた」

【みぃこ】:「その時にやったの?」

【クエス】:「んなわけないじゃん。そこでやったら犯行現場は会議室じゃないよ」

【詩子】:「事件は現場で起こってるんだ!」


 詩子さんが急に決め台詞のような発言をした。


【オルタ】:「ん?」

【詩子】:「ドラマの名言だよ。オルタ、知らない?」

【コロン】:「私も知りません」

【ユキノ】:「右に同じく」

【詩子】:「嘘ー!? これがジェネレーションギャップか?」


 そう言うことはつまり古いドラマなのかな?


【みぃこ】:「私も知らないよー」

【詩子】:「嘘つけ! お前は知ってるだろ!」

【クエス】:「そんなことより推理、推理!」

【詩子】:「先輩が振ったんじゃないですか」


 詩子さんがぼそりと文句を言う。クエスさんはそれを無視して、話を始める。


【クエス】:「話を戻すと私はその後、オルタと一緒に風呂場とボイラーに向かって、それから1人でクルー室に向かった」

【オルタ】:「私はボイラーの後はユキノさんと共にキッチンへ。そこで詩子さんとすれ違いました」

【詩子】:「うんうん。すれ違った。それですぐにブザーが鳴ったんだよ」

【クエス】:「その前はどこに?」

【詩子】:「私は初めにユキノと一緒に行動していました。実験室、そして医務室。医務室で卍に会った。その後、ユキノと別れてキッチンに」

【ユキノ】:「うん。私は詩子と別れた後はオルタとクエス先輩と共に行動。あとは2人が言った通り」

【クエス】:「なるほど、なるほど。みぃこは?」

【みぃこ】:「会議室でタスクをして、クルー部屋、そして右下端の食料庫」

【クエス】:「経路は?」

【みぃこ】:「ん? 会議室から左隣のクルー部屋。その後、下の通路を通って、そして右の通路だよ」


 どうしてそんな質問をみたいな感じでみぃこさんは説明する。


【オルタ】:「……誰とも会ってないんですか?」

【みぃこ】:「うん。ずっと1人だよ。誰ともすれ違ってないよ」


 私の質問にみぃこさんは即答した。


【クエス】:「……それにしても僕は卍かゆるるのどちらかが怪しいと思ったんだけど」

【みぃこ】:「一体誰なんだろうね?」

【コロン】:「そろそろ投票の締切時間ですよ」

【クエス】:「本当だ。僕はみぃこが怪しいと思うからみぃこに入れるね」

【詩子】:「私も」

【オルタ】:「同じく」

【みぃこ】:「なんでだよ!」

【クエス】:「ゆるるに会わなかったのが怪しい」

【みぃこ】:「いやいや、たまたまだよ。もしかしたらゆるるは下に向かったのかもしれないよ。それで会わなかったとか」

【クエス】:「下なら風呂場。それなら僕達が会ってたよ。それにゆるるはクルー部屋方面は向かったよ」


 仮にゆるるさんがクルー部屋に向かわなくても会議室からクルー部屋に向かっているみぃこさんとすれ違っているはず。

 そしてクルー部屋方面から風呂場に向かったとしたら、私達が出会っている。もしくは姿を見ている。


【みぃこ】:「クエスとオルタが嘘をついているんだ! 皆、騙されてはいけないよ!」

【クエス】:「なんで嘘をつくのさ。皆、ほらさっさと投票してー」


 そして投票の結果、満場一致でみぃこが選ばれた。

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