第4話 南極基地危機一髪【1回戦①】

【ミカエル】:「それじゃあ、始めるわよー」

【全員】:「おー!」


 そして役クルーと人狼の役割が割り当てられる。

 クルーは6人。人狼は2人。

 私の役割はクルーだった。


【ミカエル】:「ミュートだよ!」

【オルタ】:「はーい」


 私はミュートにしてからキャラを動かす。


 皆がりに会議室から出ていく。私も後を追うように会議室を出る。


 画面はマップ型であるが全体が見えるわけではなく、会議室を出ると周囲の部屋が少し見える程度。


 私はまず娯楽室に入った。


 娯楽室には先に黄色い服のキャラと青い服のキャラがいてタスクを行っていた。


 黄色い服はクエスさんで青い服は詩子さん。

 クエスさんは本棚で詩子さんは箱の側にいる。


「これって、同時にタスクしてもOKだったよね?」


 私は娯楽室の詩子さんと同じくおもちゃ箱に近づき、タスクを実行。


 画面中央にミニゲーム画面が生まれる。


 ミニゲーム画面には箱とその周囲にぬいぐるみや電車や車の模型があり、どうやらおもちゃを箱に入れるというミニゲームらしい。


「なんで子供のおもちゃ? まさかここはクルーの子供を遊ばせる部屋……いやいや、ここは南極だよ。子供連れて来ないよね」


 疑問に感じつつも、私はおもちゃを箱に収める。そしてクリアの文字が現れた。


 私がタスクが終了した時、クエスさん達はいなかった。

 娯楽室を出た後、次は下の食料庫に向かう。


 廊下を進んでいた時、下から来た赤服のキャラとすれ違った。


 頭上のネームを確認する前にすれ違ったため、読み取れなかった。


 赤服のキャラは2人いた。1人がミカエルでもう1人は……誰だっけ?


 私は食料庫に入って、腐った食材を取り分けるというタスクをこなす。

 そのタスクが終わった時、食料庫には卍がいて私は食料庫のもう一つのタスクをこなそうとした。


 その時だ。緊急ブザーが鳴り、召集された。


 画面が全プレイヤーのキャラアイコンと名前がある状態になる。真ん中に赤文字で『ミカエルが死体で見つかった』と表示され、ミカエルのキャラアイコンには赤いバツが施される。そして通報者のキャラアイコンには拡声器マークが。


 通報者はユキノであった。


【ゆるる】:「あらら、さっそく主催者がやられるとは」

【卍』:「どこで見つけたでごさるか?」

【ユキノ】:「食堂で見つけました」

【ゆるる】:「ユキノはその前に何をしてたのかしら?」

【ユキノ】:「始まって私はマップ右上の管制室のタスクをしてから下に進んで風呂場、食堂と向かってました。途中までコロンと一緒です」

【コロン】:「はい。風呂場までは一緒でした。私はその後、隣のクルー部屋に。タスクを終わらせた後に詩子先輩がクルー部屋に入って来ました」

【詩子】:「私は娯楽室でクエス先輩とオルタの3人でタスクをしてました。その後、医務室、クルー部屋の順です」

【クエス】:「僕は娯楽室から管制室、そして風呂場に向かおうとしていたらブザーが鳴った」


 僕っ子だ!


 クエス先輩は一人称が僕なんだ。もちろんキャラなんだろうけど、なんか新鮮味ある。ござるもなんだけど、やっぱ皆さん、キャラを演じているんだなと感心する。


【ゆるる】:「オルタは?」


「私は娯楽室の後、食糧庫に」


【ゆるる】:「……もしかしてミュートしてる?」


 あっ!

 ミュートのままだった。慌ててミュートをオフにしてもう一度説明する。


【オルタ】:「すみません。ミュートでした。ええと、私は娯楽室でタスクをして、その後に食料庫に向かいました。途中で赤服の人とすれ違いました。名前は……すみません、速かったので確認できませんでした。食料庫では後から卍が入ってきました」

【ゆるる】:「赤服はミカエルとみぃこよね?」

【みぃこ】:「それ私だよ。私はミカエルとゆるると共にキッチンに向かって、ええと……最後に私がキッチンを出て、それでマップ左上の格納庫に向かってる時にオルタとすれ違ったの」

【ゆるる】:「そうね。私と3人でキッチンに行ったわ。私は先に出て、そのまま上の実験室に向かったわ」

【クエス】:「ん? それだけ?」

【ゆるる】:「ええ。ゆっくり移動したから」

【卍】:「本当でござるか? 実は戻って、食堂にいたミカエルをったのではないか?」


 卍がゆるるさんに疑いの目を向ける。

 ミカエルがられたのは食堂。キッチンの隣だ。みぃこさんがいなくなった後で殺害した可能性が高い。


【ゆるる】:「そういう卍はどうなの? 私、実験室までの通路で誰とも会ってないけど?」

【卍】:「拙者は始まってすぐに左のクルー部屋に向かい、その後、娯楽室、そして下の食料庫に入ってタスクをしようとした時にブザーが鳴ったでござるよ」

【クエス】:「ムムッ、これは分からんな」

【詩子】:「まだ1人ですからね」

【ゆるる】:「ちなみにオルタは食料庫でどんなタスクをしてたの?」

【オルタ】:「? 腐った食材の分別ですけど?」

【ゆるる】:「なるほど」

【クエス】:「ゆるる、それ初心者狩りだぞー!」

【ゆるる】:「ただ質問しただけよ。変な意図はないわよー」


 なるほど私が人狼だった場合、初心者の私はタスクについてすぐ答えられないはず。


 そう考えての質問か。


【詩子】:「うーん? ここは一旦スキップですかね?」

【みぃこ】:「そうだねー」


「ミュートだよー」、「ミュートにしまーす」、「ミュート」と皆がわざわざミュート宣言するのは初心者である私のためだろう。


 私もミュートにして、プレイを再開。


 再開ポイントは皆、会議室からで、みぃこさんが残って、会議室のタスクを始めているようだ。


 私は左端の管制室に向かう。

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