第65話 ザ・ポリス②

『こちらに変態がいます』


 少し離れたところを巡回していたヤクモが異変を見つけ、無線機で報告してくる。


「それみはり先輩では?」


 私は無線機を使い、応答する。


「オルタ! 私はここだよ! ひどいよ!」

「すみません」


 すぐ近くにみはり先輩がいた。


 私とみはり先輩はすぐにヤクモの下へ向かう。

 ヤクモは繁華街のハズレにあるパーキングエリアにいた。


「どうしたの? 車上荒らしでなく、変態だって? どこ?」


 キャラが変態ポリスのみはり先輩が拳銃片手にパーキングエリアに向かう。


(この絵面がやばいんだけどなー)


「ここです」


 ヤクモの声を頼りに私達は向かう。


 するとそこにはサングラスにスカートがカラフルなセーラー服の変態5人組がいた。しかも髪型が金髪ツインテールや茶髪のポニーテール、黒のロングと様々。


「本当だ。どうして撃たないの?」

「いえ、迷惑行為ではなさそうですし、撃っていいものか悩んで」

 確かに気持ち悪いけど、犯罪はしていない。

「撃っていいんだよ」


 と、みはり先輩は拳銃で変態5人組を射殺し始める。


「いいんですか?」

「ヤクモ、人に迷惑をかけてないからと言って、コンビニの前でたむろってはいけない理論だよ」

「な、なるほど」


 そしてヤクモも変態5人組に向けて銃撃する。


「オルタ? どうしたの?」

「みはり先輩、ポイント減ってません?」


 画面右上に累計ポイントが記されている。もしパンピーを殺したり捕まえたらポイントが減るようになっている。


「……あ、減ってる」

「ええ!? そんなー!?」


 2人は撃つのをやめるが、その時には変態5人組は死んでいた。


「オルタ、早く言ってよ」

「気づいていると思って……」

「ま、いっか。減った分はまた犯罪者を捕まえて、また稼げばいいし」


 そして私達はパーキングエリアを出ようとしたその時、前方から膝上までのロングコートのおっさんがいた。


「こいつも変態かな? コートを開けて、裸を見せるタイプ?」


 いかにも典型的な変態だった。けど先の件もあるためみはり先輩は慎重になる。


「ただのロングコートを着てるだけでは?」

「オルタはどう思う?」

「……膝上から靴まで……何もないですよね」


 短パンを穿いてる可能性もあるが、おっさんが短パンなんて穿くかな?


「よし。変態だ。撃つよ」

「もう少し様子見をしては?」


 みはり先輩が近づくも何もアクションはない。


「……ヤクモ、ちょっと来て」

「あ、はい」


 ヤクモが近づくと、コートの男は前を開いた。


「キャアァァァー!」


 私は遠くにいたから被害は少ないが、男に近づいたヤクモはすごかっただろう。


「現行犯だー!」


 みはり先輩は現行犯射殺を行う。


「やはりうら若き女の前でしたコートを開かないのか」

「みはり先輩! 分かっていたなら言ってくださいよ! びっくりしましたよ!」

「アハハッ、ごめんよ」

「モザイクが! モザイクが!」

「うん。モザイクかかっていたよね」


 みはり先輩がバカ笑いする。


「危うくバン案件だったよ」

「私はモロですからね! ……大丈夫かな?」


  ◯


「……みはり先輩、ここは?」


 ピンク塗装のお城と大きなネオンの看板が並ぶエリア。


「ラブホ街だよ」

「ここで何を?」

「この時間はポイントが稼げるよ」

「ポイント?」

「ほら、出て来たよ」


 男女のカップルがラブホから出てきた。それをみはり先輩は拳銃で撃ち殺す。


「いやいや何してんの? リア充爆死しろってこと?」

「違うよオルタ。よく見てみて」


 私は倒れているカップルを見る。


「あれ?」


 男は中年のおっさんで、女は若い女だった。


「ウリですね」


 と、ヤクモが言う。


「今はパパ活って言わない?」

「あっ! パパ活ですね」

「世代だねー」

「私、20代です!」

「ということだから、この2人は犯罪者。撃ち殺してもいいんだよ」

「分かりました」

「よし。どんどんポイントを稼ぐぞ!」

「「おー!」」


 そして私達はラブホから出てくるカップルを見て、パパ活案件と判断すると撃ち殺していった。


 けれど──。


「あれ? 減点だ? なんで?」

「オルタ、女の方をよく見て」

「なんですか?」


 倒れた女を見ると、女は若い子であると分かる。10代くらいかな?


「パパ活ですよね?」

「パパ活でも、女は未成年。少女だよ。少年法」

「少女は殺してはいけないと?」

「そう。ちゃんと見極めないと」


 それから私はきちんと女の方をよく見て、見極めようとするのだが──。


「これは少女? 大人?」


 グラフィックが悪いせいか見極めが難しい。

 ケバいから大人だと考えて撃ったら、アウトだった。


「いっそ全員撃つのではなく捕まえては?」


 と、ヤクモが提案する。


「手錠で捕まえるのもありだけど、逃げる奴がいるんだよね。しかも速いんだよ。とりあえずケバくても撃っていこう。少女を殺しても減点は少ないしね」


 みはり先輩がラブホから出てきたカップルを狙い撃ちする。


「どうして減点が少ないのですか?」

「少女でも犯罪だからね。それでじゃない?」


  ◯


「さて、そろそろラブホから出てくる客も減ってきたね。河岸かしを変えようか?」

「みはり先輩、次はどこにします?」


 ヤクモが聞く。


「ん〜? 繁華街に戻って、違法な客引きや喧嘩、ぼったくりバーを攻めるかな?」

「繁華街以外にはどんなエリアがあるんですか?」


 このゲームに対して初心者の私は2人に尋ねる。


「駅とか住宅街、デパート、公園……公園だ!」

「公園ですね!?」


 2人して何かに気づいたらしく声を上げる。


「公園がなんですか?」


 1人分からない私は尋ねる。


「この時間は公園でパーティーがあるんだよ」

「パーティー?」

「ドラックパーティさ!」

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