第37話 検証スタート

 先程の「広告動画を見た私」の録画を見直して、特に問題がなかったので次に進んだ。


 次は実際にゲームをスマホにダウンロードして、プレイ検証する動画。


 パソコン画面には繋げられたスマホの画面が映し出されている。


「ねえ? これって途中で電話とか掛かってきたらやばくない?」

「普通にやばいよ。でも、生配信じゃないから問題ないよ。さ、お姉ちゃん、始まるよ」

「オッケー」


 佳奈がパソコンを操作して、録画ボタンを押す。


「えー、次は実際にプレイしていこうと思いまーす」


 私はパソコン画面に向かって、ゲームプレイを告げ、スタート画面をタップ。


 オープニングが始まり、平和的な日常のシーンが流れる。

 学校での一コマ、親子で遊園地にて遊んでいる一コマ、お正月、マラソンのゴールシーンなど。


 けど、不穏な音楽が鳴り始めて、画面は中央に赤を落としたような染みがじわじわと画面一杯に広がる。そしてナレーションが始まった。


『ある日、ゾンビウイルスにより、世界中でパンデミックが発生』


 ゾンビが人を襲っているに変わる。


「ゾンビウイルスって何番煎じよ」


『生き残った人々は壁を建て、その中で暮らし始めた』


 外のゾンビから逃げ、壁の内へと暮らし始める人々。


「なんか漫画でなかった? 高い壁を建てて、人喰い巨人やらモンスターから国を守ってたというやつ」


『だが、独裁者による圧政で人々は苦しい生活を余儀なくされていた』


 スーツを着た中年のおっさんが葉巻を咥えて、さらに足を組んで椅子に座り、ふんぞり返っている。


「あー、あるね。悪い奴がリーダーになって、やりたい放題するケース。内ゲバってやつ」


『しかし、ある若者が圧政から立ち上がり、独裁者をとうとう打ち倒した』


 若い男とそれに賛同する人々。

 そして若い男は悪党を倒すシーンが流れる。


「へえ。そこはもう終わってたんだ」


 流れからその独裁者を倒すところからスタートかと思ったよ。


『その新しきリーダーが──』


「リーダーは?」


『君だ!』


「あっ!? 私!? 私がリーダーなの?」


 そしてオープニングが終わり、壁に囲まれたミニチュアの街並みが画面に現れる。


『どうも私、オペレーターのマチルダ。新リーダーのために街の開発について説明しますね』


「あっ! ナレーションの人と声が同じだ。さっきのナレーションはこの人だったんだね」


『まずはこちらの数字を見てください』


 画面右上端の数字に矢印が向く。


『これは労力の数値』


「700か」


『次に開発。こちらをタップしてください』


 私は言われた通りに画面下部の開発をタップする。

 すると農業、武器製造、ライフライン、壁の強化の枠が現れる。


『農業をタップし、消費労力数値を100に設定してください。設定が終わればスタートを』


「農業で数値は100と」


 700とあった数値が600に減る。

 そして最後に私はスタートをタップ。

 すると空き地に鎌や鍬を持った小さい人々が仕事をし始める。


『ここに終了時間が表示されます。これがゼロになったら開発終了となります。では、残りの労力を使って色々と開発していきましょう』


「終了時間は10分か」


 私は武器製造、ライフライン、壁の強化にそれぞれ200の労力を振り分ける。終了時間は20分。


「つまり10労力で1分ということね」


『次はクエストをやってみましょう』


 開発の右隣にクエストの枠があり、私はタップする。


 クエスト一覧が現れた。


『最初は壁周辺のゾンビ掃討レベル1をやりましょう』


 私はオペレーター・マチルダに言われた通り、壁周辺のゾンビ掃討レベル1を選択した。

 画面は壁の砲台から外を伺うシーンになる。

 男がスナイパーライフルを手にしている。


『それでは照準を定めて外にいるゾンビを倒していきましょう。弾は照準に合わせると自動で射出されます』


 私はゾンビに照準を合わせる。するとパンッという音が発せられ、ゾンビの頭が弾ける。


『お見事。さすがリーダー。どんどんゾンビを倒してください』


「照準を合わせるだけなら楽勝ね」


 その後、私は照準を合わせて次々とゾンビを倒していく。


『ナイスヘッドショット!』


「イエーイ」


 クエストが終了してリザルト画面に移る。


 クエスト達成内容が表示され、報酬のアイテムをゲットした。


『クエストお疲れ様です。今回得られたアイテムは開発時間短縮アイテムですね。これを使って開発時間を短縮しましょう』


 開発の左隣にアイテムの枠があり、私はそれをタップ。


 アイテム一覧が現れ、先程獲得したアイテムを選択して、次に使用をタップ。

 すると開発時間が全てゼロになった。開発エリアが光り、成功という文字が現れる。


『これで開発によって街のレベルが2に上がりました。おめでとうございます。どんどん開発して街を豊かにしていきましょう』


「なるほどね。街を開発するゲームなの……ん!? え!? 広告動画のアレは? パネルで兵士を増やしたり、強い武器を手にしてゾンビを倒していくんじゃないの?」


『これにてチュートリアルは終了です。分からないことがあればヘルプボタンをタップしてください』

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