第14話 SWAT

『アメ、私は上を攻めるから』

『分かった。私とオルタは残党を狩る』


 リリィさん操る白キツネは階段を駆け上がる。


『それじゃあ、私はこのフロアの敵を倒しましょう』

「はい。といってもあらかた倒しましたけど」

『でも増援とかが来るから。ここで食い止めないと』

「そういえば指令には襲撃と書いてありましたけど、クリア条件はなんですか?」

『だいたいがSWATが来たら成功かな』

「SWAT……増援ですね。だからここで私達は待機しているんですね」

『そうそう。SWATが来たら倒せないから逃げるの』

「逃げ……えっ!? 逃げる?」

『そりゃあ、勝てないもん』


 当然だよみたいな感じでアメージャさんは答える。


『さて、敵が来るでちょっと物色しようか』


 と言ってアメージャさんはフロア内のロッカーや机の中を調べる。


『おっ! あっちに鑑識課があるじゃん。なんかありそう。私、ちょっと見てるね。敵が来たら教えて』

「了解です」


 アメージャさん操るオオカミキャラは隣の鑑識課に向かった。


 1人になったので、私も近くの机やロッカー、死んだ警察官を調べ始めた。


「あっ! 薬だ」


 死んだ警察官から私は薬を見つけた。


「……なんで警察官が持ってるの」


  ◯


「SWAT、来ませんね」


 あれから鑑識課を物色して戻ってきたアメージャさんと一緒に階段前で敵を待ち構えていたけど、やってくるのは雑魚ばかり。


『本当だ。このままだとリリィが暴れて終わっちゃうかも』


 そこで『ビー』という音が鳴る。


『噂をしたらリリィだ』


 アメージャさんが操るオオカミキャラが黒いケータイを使用する。


『おーい、聞こえるかーい』


 リリィさんの声が小さく聞こえる。それと発砲音が。


「あれ? どこです?」


 画面にはリリィさん操る白キツネがいない。


『今、上の階にいる。トランシーバーを使ってるの』

『オルタ、右下のトランシーバーマークを押すんだよ』


 トランシーバーマークを押すと『ビー』と受信音は消えてリリィさんの声が大きくなった。


『えーとね。SWATが来たわ』

『え? こっちにはまだ来てないけど。通しちゃった? オルタはSWATを見た?』

「見てませんね。長いことここにいましたけど誰も通ってませんよ」


 ずっとここにいるわけではないけど、増援の警察官は上に向かわず、私達を攻撃してきていた。


『だってさ。リリィ、本当にSWAT?』

『SWATだよ。というか下からではなくて上から来たね』

『上?』

『ヘリだね。映画とかでよかあるワイヤーを使って、窓から入ってきてる』

『マジか』

『だから逃げるよ』

『オッケー、私はオルタと階下へ下りるけどリリィは1人で平気?』

『逃げるだけなら1人でなんとかなりそう』

『じゃあ、後で』


 そして通話は切れた。


『行こうか』


 私が「はい」と返事をする時、窓ガラスが割れて、SWAT部隊が強襲してきた。


『クソッ! こっちにも来た!』


 私達は窓ガラスから入ってきた黒装束のSWAT部隊に向け、ライフルのトリガーを引く。


『撃ちながら後退だよ!』

「はい」

『オルタ! 気をつけて!』

「へ?」


 画面が急に真っ白になり、轟音が鳴る。


「なんですかこれ?」

『スタングレネードよ』


 そして画面は元に戻るが私達のキャラは痺れてまったく動けなくなる。さらに「キィーン」という音が響く。


「動きにくーい」

『重てぇ』


 私達はノロノロと動きつつ応戦する。


『2人とも大丈夫?』


 そこへリリィさんが戻ってきた。


『ここで何してるの?』

『ごめん。スタングレネードでやられちゃった。回復するまで少し時間かかる』

『仕方ないな。私が前に出るから2人は少しずつ下がって』

『オッケー』

「すみませーん」


 私達はなんとか市警を出て、車で逃走。

 その私達の後をSWATはヘリと装甲車で追いかけてくる。


 さらにヘリは上空から機関銃で私達を攻撃する。


 車の運転は私で、SWATに追いかけられたり攻撃をされたりとてんやわんやで、もう道であったら対向車線だろうが歩道だろうが、子供がいようが気にせず突き進んでいく。


『いいぞ、オルタ! 突き進め!』

「それよりリリィさん、ヘリはどうします。鬱陶しいくらい撃ってきますよ!」

『トンネルか地下か立体駐車場かな?』

「地下……車では無理ですよ」


 地下への入り口は車では通れない。バイクなら通れそうだけど。


『ならトンネルだね。ビーチに沿った車道を北に進んで行けばあるよ』

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