第9話 学校七不思議探検隊③
体育館に入ると靴脱ぎ場から「ダーン、ダーン」というボールの跳ねる音が聞こえた。
「あっ! これは怪奇現象だよ」
ヤクモは扉を開いて館内を進む。
「待っ──」
「うわぁぁぁ!」
またしても鼓膜破壊の大声量を生で聞いて、私は首を縮こませる。
「何? 何かあったの?」
私は急いで館内へと入る。
すると──。
「うわぁ」
大量のバスケットボールが体育館中に跳ねていたのだ。
「オルタ! 怪異発生だよ」
「はい」
そしてミッション開始画面になった。
ミッション内容は制限時間内にあちこちに跳ねているボールを捕まえて、それでシュートを打ち、ゴールさせること。目標は30点。
3カウントが始まり……0となった。
「いくよ! 私、右行くから。オルタは左で」
「了解」
私達はバスケットボールを捕まえてはシュートをするのだけど、なかなか入らない。弾かれてばかりだ。
「……難しい。ヤクモ、そっちはどう?」
「私はそこそこ」
「ええ!? どうして!?」
なんとタイムアウトする前に30点が入り、ミッションクリアした。
「なんでそんなにばんばん入るの?」
「たぶんステータスで器用値が高いからかな?」
「器用値!?」
「こんなところで器用値が活躍するとは」
というかなぜオカマは器用値が高いの?
繊細だからと言いたいの?
(もしかしてそのドレスは自前だったり?)
「これで2つ目。残り5つ」
「次は校舎かな?」
「よし! このまま頑張ろー!」
「おー!」
◯
私達は次に校舎の中へ入った。
「校舎の七不思議といえば、やはりアレだよね?」
と、ヤクモが聞いてきた。
「トイレの花子さんだね」
トイレの花子さんは超メジャーだからね。
知らない人はいないくらい。
ホラーが苦手でも知っている話。
「うん。じゃあ、行ってみようか」
「ちなみにトイレでどんなミニゲームが?」
「……ううん? なんだろう?」
「便器洗いとか?」
「それは嫌だな。トイレットペーパー早巻きゲームとかだったらいいな」
そして私達は3階の女子トイレの3番目に着いた。
着いたのだが──。
「何も起こらないね?」
「そうだね」
ドアを叩いても、じっと待ってても、我慢できずに開けてみても何も起こらなかった。
「花子さんは違うのかな?」
「別のとこ行ってみます?」
「うん。次は音楽室かな?」
「ベートベンか勝手に鳴るピアノのどちらかですね」
「もしくは両方だったりして」
◯
「ええ!? まさかのリズムゲー!?」
音楽室に着くやピアノが勝手に鳴っていて、すぐにミッションが発生した。けれどそのミッションがまさかのリズムゲーだった。
画面も音楽室からリズムゲー用の特殊画面となってる。
ルールは上からブロックが落ちてきて、それを下のバーに重なった時にボタンを押すといういかにもリズムゲー的なもの。バーは4つで、使用ボタンはL、R、十字キーの上、Xボタン。
きちんと重なればベリーグッド、少しズレたらグッド、外したらバッド判定となっている。そして獲得ポイントが合格ラインを越えたらミッションクリアとなる。
「くうぅ! 惜しい! あとちょっとだったのに!」
まずヤクモが挑んだ。結果は後少しで合格ライン越えという惜しい点だった。
「曲が流行りのだったらいけてたよ」
「そういうのは権利問題で駄目だったのでは?」
曲は童謡『赤トンボ』だった。
「次は私ですね」
「頑張れオルタ!」
「いきます!」
3カウントが始まり……0となる。曲が流れ始めるのだが──。
「ええ!? なんで『エリーゼのため』なの? しかもバーは小さいし、ブロックのスピードも速いし、数も多い! 難しすぎ!」
「う〜ん? これも器用値が原因なのかな?」
「えー!?」
「ちょっとリスナーの意見を聞いてみよう」
なるべくネタバレ防止のためコメント欄を見るのは控えてたけど、ヤクモは見ることを提案する。
「そうだね」
「リスナーさんへ、何か知ったら教えて」
そしてヤクモはコメント欄用のモニターに顔を向ける。
「……ふむふむ。リスナー曰く、バーの大きさは器用値に左右されるとか。曲は運だって」
「運か。それにしても急に激ムズになったからびっくりだよ」
「ネタは分かったし、もう一回やってみよう」
「鍵は器用値の高いヤクモだね」
「頑張るぞー!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます