第28話 デイ・アフター・パンデミック③
中ボスとゾンビ集団を倒した後、私達はビルの中へと入った。
ビルの中は暗く、散乱していた。中はブティック店が立ち並び、パンデミックがなければさぞかし人の往来の多いビルであったはずだろう。そのビル内にいるゾンビを倒しつつ、私達は指定された進路に沿って突き進む。
『綺麗なお店がぐっちゃぐっちゃねー』
マイさんがブティック店を見て言う。
『ほら、ぼっさとしてないで進むよ。それと周囲確認をしっかりしないとね』
フジさんが注意をする。
『分かってるって。それにゾンビはミカゲが速攻でぶっ飛ばしてるから平気でしょ』
ミカゲさんは少しでも物音がすると、すぐに機関銃で銃撃。
『ねえ、まだ? まだなの?』
『まだ3階だよ』
ヒスイさんがアサルトライフルの先で3階の書かれた壁を指します。
『なんで3階なの? いつ
「さっきの入口が3階の入り口だったんだよ。ここらへんは高低差があるんだよ」
とメメが答える。
『もうヤダー! 早く帰りたーい!』
とうとうミカゲさんは泣き言を言い始めた。
『だったら階段探そうね』
しかし、ヒスイさんは冷たく言い放つ。
「あっ! ありましたよ。あそこ、エスカレーターですよ」
『ダメだよ。オルタちゃん、エスカレーターは詰まってる』
「詰まってる?」
私はエスカレーターに近づき、ヒスイさんが言った詰まってるの意味に気付きました。
無数のゾンビの肉体が詰まっていて、下の階へ抜けれそうになかった。
「これ爆弾で吹き飛ばすとか無理ですか?」
『それが無理なのよー。前にも試したんだけど、吹き飛ばないのよね。多分そういう仕様なんだろうね。運営もいけずよねー』
◯
そして私達は階段を見つけ、下の階へと進みました。
けれど地下1階へというところで瓦礫によって道は閉ざされてしまいました。
『これは1階で別の階段を探さないとね』
ヒスイさんが溜め息交じりに言う。
「また探索ですか」
『そうだねー。どこにあるんだろ?』
「……そういえば、皆さんは一度このゲームをプレイしたことあるんですよね?」
『そうだよ』
「ならこの後の展開も分かるのでは?」
『ああ。違うのよ。このゲームね、毎回エリアとか目的地が違うのよ』
『それにこの前に色々アップデートしたからね』
とフジさんが言う。
『え!? アップデート!? 何それ?』
『お前知らんのんかーい』
マイさんがミカゲさんにツッコミを入れる。
「そんなことよりゾンビが集まってきたよ」
メメがショットガンをぶっ放しながら告げる。
『いーやー!』
ミカゲさんが、いの一番に反応して機関銃が発する音以上の悲鳴でゾンビを蹴散らす。
◯
『ふう。やっと地下鉄まで来たね』
ヒスイさんがトンネルを見て言う。
「でもまだ半分ですよ」
目的地の港まで残す距離はやっと半分となった。
『なあに、後は線路に沿って進んで、港の最寄り駅を出ればいいだけ。港も駅から近いしね』
フジさんが前を進みながら言う。
「そうですか?」
『大抵こういうのはね、前と後ろからゾンビが出て、それを散らしながら前へと進むだけだよ』
『そうなの!?』
『ミカゲ! あんたは経験者なんだからね。しっかりしなさいよ』
『無理無理。こんな暗いところ怖くて何もできないよ』
『ゾンビが来たら撃つ。そして群れで来たらダイナマイトを投げる! それだけよ』
「普通、地下でダイナマイトなんて爆発させたら大変なのでは?」
『現実はね。でもここはゲーム。ダイナマイトを爆発させても天井は崩れてこないし、土煙もすぐ消える。他にも火炎瓶でも熱や煙、酸欠などで死ぬこともないしね』
「めちゃくちゃですね」
もうこの単語も何度も言ったことやら。
『ゾンビがいる世界だもん。多少は都合の良い設定になってるんでしょうね。……っと、駄弁ってたら前と後ろからゾンビよ』
地下鉄は今までと違う、ゾンビが大量に湧いて出る。
『来んなー! いやー!』
ミカゲさんは悲鳴を上げつつダイナマイトを投げまくる。
ちなみにダイナマイトには所持制限はなく、無限に投げ続けられる。
ただし、爆風や爆炎で画面が見辛くなる。
「ミカゲさん、後ろ!」
数体のゾンビがミカゲさんを後ろから襲おうと近付いて来ている。
『いーやー!』
ミカゲさんは振り向き様にダイナマイトを放り投げる。
「こっちに投げないで!」
『ぎゃあああ』
ダイナマイトの爆発に巻き込まれ、私達は吹き飛ぶ。
そして皆は散り散りに別れてしまったので、ゾンビに囲まれてしまった。
「大変、囲まれた!」
『皆、一箇所に!』
ヒスイさんは武器を金属バットに替えて、周囲のゾンビを殴る。
私も武器をL型バールにして、ゾンビの頭を殴る。
『ミカゲも武器をダイナマイトでなく、近接武器に!』
『いーやー! 来んな! こっち来んな!』
『ミカゲ!』
『ヒスイ、ここは私に任せて』
マイさんが刀でゾンビを斬り倒しつつ、ミカゲさんのもとに近づく。
そして──。
『ちょっと死んでて』
と言って、マイさんはミカゲさんを斬り殺した。
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