第17話 マナカ・マグラ第3話【瀬戸真里亞】
「あ! 待って! 虫だ?」
「え!?」
宮下さんは蚊を両手で
もう夏ゆえか虫が多くなった。
「すごいね」
「そうかな?」
「そうよ。あんた、昔っから虫の気配に敏感よね」
豆田さんが呆れたように言う。
「……敏感って。音が聞こえてるから」
「敏感よ。あんた、時折、音を出す前の音とかいうじゃない」
「なにそれ?」
「ええとね、何か虫が音を出す前の音ってのがあるのよ」
「エスパー?」
「分かる。それって競技カルタのあれでしょ。発音する前の呼吸音的な」
と新が言う。
「意味わかんない」
天野は眉根を寄せて言う。
「つまり予備動作だっけ? そういうの。拳だって殴る前に拳を握ったり、腕を下げたりするでしょ。あんなの」
と新は説明する。
「そうなの?」
天野が宮下さんに確認する。
「そんな感じかな」
◯
「皆さーん、こんにちは。オルタでーす。ええと、動画予告していた通り、今回は『魔法少年マナカ・マグラ』の第3話を見ようと思います」
『始まったー!』
『ネタバレ禁止な』
『トキマサ喰われる』
『やめろ』
『おい!』
『パクパク』
『やめーい』
「えーと、コメントなのですがネタバレ防止ということで私の画面には表示されていません」
『ネタバレ厨ざまぁ』
『これでオルタちゃんは安心して見れるね』
『トキマサ喰われる』
『↑ウザい』
『1000円』
『読まれねえのによくスパチャ出すな』
「ただ、第3話終了後にスパチャお礼タイムがあります」
『あとで読んでくれるらしい』
『へえー』
『じゃあ、俺も。500円』
そして『魔法少年マナカ・マグラ』の第3話の視聴が始まった。
初めから戦闘シーンで、主人公マナカと友人のショウヘイは今日も先輩魔法少年トキマサのモンスター退治を見学。
トキマサはサクサクとモンスター達を撃退し、親玉の巨大モンスターを必殺技で撃退。
その後、オープニング、そして本編が始まった。
日常パートで主人公達は楽しい学園生活を送っている。
そして放課後、カナタとショウヘイはショッピングに出かけていたら、ショウヘイがモンスターの巣窟を見つけた。
そしてカナタがトキマサを呼びに行っている間、ショウヘイが先行してしまう。
「なんで魔法少年じゃないのに先走るの?」
カナタとトキマサは急いで奥へと進む。
その間、2人はちょっとした雑談をする。
その際のトキマサの熱い意志に感化されたカナタは魔法少年になろうと揺らぎ始める。
そして最後に大型モンスターをトキマサが倒すが、モンスターまだ生きていて、トキマサは喰われる。
「え、ええ!? ひゃあ!?」
モンスターがトキマサを食べている間。ペコ丸は早く契約と言うが2人は腰を抜かし、恐れてしまっていて言葉がでない。
そんな時、ケンゴが助けに来て、モンスターを倒す。
「うわー。これは……え? 契約しないんじゃない。だって、喰われるんだよ。嫌だよ。特に願いもないし、契約しないよ。あ!? でも、ショウヘイは怪しいかも。双子の妹のため契約しちゃう?」
◯
「はい。では以前のスパチャお礼タイムです。ちなみに現在のコメントは私の方からは見えないことになっております。メメ曰く、第4話のネタバレを防止するためです」
『ショウヘイは契約する』
『↑ネタバレすんな』
『どうせ見られないんだし』
『良い反応だった』
『これからどんどん……』
そしてオルタちゃんのスパチャお礼タイムは終わり、
「第4話から第9話までは収録配信となります。それでは皆様、またのご視聴お待ちしてまーす。バイバーイ」
『バイバーイ』
『おお! 10話は配信か』
『だろうな』
『順当』
『ケンゴの正体はいかに?』
『もうコメントするな』
◯
その日の掲示板は盛り上がっていて、スレッドもすぐに1000を超え、1時間で3つも新しく立ち上がった。
129:名無しのリスナー
『もう絶望しかない!』
130:名無しのリスナー
『反応良かった。あのシーンは俺もびっくした』
131:名無しのリスナー
『キツかったね』
132:名無しのリスナー
『エグ谷園』
133:名無しのリスナー
『>>132 古い』
134:名無しのリスナー
『だが当時はエグ谷園だった』
135:名無しのリスナー
『なつい』
136:名無しのリスナー
『老けたな』
137:名無しのリスナー
『>>136 ジジイ』
138:名無しのリスナー
『>>137: ブーメラン』
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