2.スタートは一緒でも差がつくときは差がつく。
隣の席に座る。私の友達だ……いや、知り合い?友達?どっちだろう。そんな感じの距離感の人。
我らが私立
ちなみに、出席番号的には私こと
小松川さんという人間を一言で言い表すなら「陽キャ」。もう一言付け足すなら、「善人」と言った感じになる。制服なので髪型とかアクセサリー程度しか分からないが、その辺だけでももう「違い」を感じる。
最も、何が違うのかはよく分からないけど。
だって興味ないし。
そんなことをしても喜ぶのは一部の男子だけだし。
そんなわけで興味も無ければ、知識もないアクセサリーとヘアアレンジをしている小松川さんは、私から見ても「ザ・女の子」って感じがする。
正直凄く可愛いと思うし、本来はこういう子がモテるべきなんだと思う。どうして男子っていうのは、距離感の近さを恋愛感情に変換するんだろう。私からはちっともそんな気持ちなんてなかったのに。まあ、友達としては凄く好きなんだけど。
そんな小松川さんと、席替えというイベントのおかげで席の近さという最大のアドバンテージを得た私は、初日から積極的に話しかけ、無事に友達になったのだ。
なんでそんなことをしたかって?
だって、彼女と友達になっておけば、人間関係に苦労しなさそうな気がしたから。
ごめんよ、小松川さん。話してみると、見た目通りかそれ以上に良い人で、そんな打算的過ぎる理由で近づいた数分前の自分に回し蹴りを入れてやりたくなったけど、これも無事に高校生活を過ごすためなんだよ。
私みたいな人間関係クラッシャーが小さい小さいコミュニティで完結してごらんなさいよ。ちょっとした出来事で崩壊して、疎遠になって、無事にぼっちの学園生活が出来上がるに決まってるじゃない。
その点小松川さんは優しい(と思う)し、コミュ力も高いと思うから、いざとなったら仲裁とかそういうのも頼めるんじゃないかなって思ったんだよ。許しておくれ。それくらいしか生きのこる術が思い浮かばないんだよ。
頼りになるはずだった神様から授けられた(んじゃないかと思う)力は私を起点か終点にする矢印は全く見えないっていう欠陥仕様だし、しょうがないんだよ。うん。
と、心の中で過去の自分を蹴り飛ばしながら、小松川さんに言い訳をしつつ、
「う、ううん。別に。なんでも」
「そう?それなら良いけど。何か悩んでるなら、私で良いから相談して?」
「う、うん。ありがと。その時は頼りにさせてもらうね」
ま、眩しい……
なんて人間が出来ているんだ小松川結衣。年齢は私と同じだし、性別だって同じはずなのに、一体どこでこんなに差がついたんだ。
かたや人の表情からなんとなく「悩みがあるんじゃないか」と察して話を振って、相手がそんなことないと言っても「相談にのる」と言ってくれる聖人。かたや、人の気持ちなど欠片も分からず、ただただ打算だけで友人関係を構築した人間の屑。
おかしい。人類は皆平等ではなかったのか。天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずだったんじゃないのか。あれ、でもあれって確かその後に続く文で割とその内容にがっつり注釈が入って、
「やあやあ二人とも、おはようおはよう」
「ん」
その時だった。
二人のクラスメートが、小松川さん(と私)のところに寄ってきて挨拶をする。
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