選ばれし勇者よ、試練を与える…「ちょっと待ってください」
柊ハク
第1話
勇者よ、貴様に試練を与える。これより訪れし108の試練を乗り越える事で、お主は魔王をも打ち倒す力を得る事となるだろう…
「ちょっと待ってください」
…どうした?
「108って多過ぎません?」
え?
「魔王を倒すのに108もこなさなければならない理由ってあります?」
…
「急いでるんですよね?あなた神様ですよね?僕に魔王を倒してもらいたいんですよね?じゃあ試練なんて迂遠な事言ってないでさっさと神の力で強化してくださいよ」
いや、でもそういう決まりだし…
「決まりってなんですか誰が決めたんですか。今こうしてる間にも無辜の民が不当に苦しめられているんですよ!それを悠長に108も試練をしないといけない…ちなみに、その試練ってひとつどれくらいの時間がかかるんです?」
まあ大体、1時間くらいで1個クリアといった所か
「つまり最低でも108時間掛けろと!?冗談じゃない。民が苦しんでるのは今!この時!なんですよ!それなのに、108時間待ってて、力つけてくるから、神様が力くれたら1番早いんだけど決まりだからしょうがなくて!と!そう言い訳しろって言うんですか!?」
…うーむ
「試練って間髪入れずに連続で受けれるんですよね?」
いや、世界各地に点在しておってそれぞれ最低でも10kmは離して建造された石碑に触れる事で挑戦する事が…
「更に何時間掛かることか!!その間に!どれだけの!!救えるはずだった命が!」
わかったわかった、もうよい。試練は辞めにしよう。そなたの正義の心を試す意味合いもあったのだが、そこまで熱く義憤に燃える心があるなら心配要らんじゃろう。試練は免除とする。神の力を授けよう。
「ちょっと待ってください」
…なんですか?
「いきなり神の力をくれてやると言われても困ります」
えっ、だってさっき
「108個は多過ぎると言ったのですが、なにも0にする事は無いでしょう!?あなたは子供ですか!?あなたの中には0か108かしか無いんですか!?こちとら戦闘経験0のど素人ですよ!突然戦闘機渡されて戦えますかって!」
練習したいと?
「当然でしょう!少なくとも3、いや5回は試練を受けさせてください」
しかしそうなると5時間に加えて移動時間が掛かるわけだが…
「魔王がどれほど強大な存在かもわからないのに、不足の状態で臨めるわけないじゃないですか!少なくとも自分の腕に自信を持たなきゃそんな強大な相手に立ち向かってなんていられませんよ!噂を聞く限り、百戦錬磨の古強者だそうじゃないですか!僕のような小童がマグナムを持ってるだけみたいな存在、片手で捻られちゃいますよ」
そうか?じゃあ試練は5個にするとしよう。
「もうひとつよろしいですか?」
…なんですか?
「距離も縮めてください」
え?
「10kmは長過ぎます。10mにしてください。神様からしたら誤差でしょう」
いや、移動に伴う体力作りが目的であってだな…
「僕らが!!こうしてる間にも!!無辜の民が苦しんでいます!!」
わかったわかった。10mに変える。それで良いな?
「五角形にしてください」
は?
「五角形に配置してください。うねうね並んでたら気持ち悪いでしょう。こういうのは神様的にもなにか図形にしといた方が良いと思います」
そうかなぁ?
「そうですよ!」
本音は?
「その方がかっこいいから」
…
「今!こうしてる間にも!!無辜の民が!!」
わかった!!五角形にする!!もうよいか!?
選ばれし勇者よ、試練を与える…「ちょっと待ってください」 柊ハク @Yuukiyukiyuki892
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